2009年5月12日火曜日

昔ながらの夏ミカン


日曜日(5月10日)の夕方、車で近所の家の前を通ったら、入り口のブロック塀の前に「どうぞ自由にお持ち下さい」と書かれた札と、夏ミカンの入ったポリバケツが置いてあった=写真

朝晩散歩するコースだ。旧知の人の家でもある。道にかぶさるように夏ミカンの木が茂っている。黄色く大きな実がいっぱい付いている。いつだったかご主人と話したら、昔のタイプの夏ミカン、ということだった。

カミサンの実家の菩提寺にも同じような夏ミカンの木がある。兼務住職が「いくらでも持ってってください」というので、皮を白菜漬けの香り付けに利用したことがある。皮は白い綿の部分が厚い。そのまま干して漬けたら、苦みもしみ出て閉口した。果実は酸味が強い。ニガ・スッパ。まさしく昔の夏ミカンだ。

わが家に着くとすぐ、レジ袋を持って夏ミカンをもらいに行った。歩いて2、3分のところ。ご主人はいなかったが、嫁さんが庭にいた。声をかけると「どうぞ、どうぞ」。

中身は食べる。あるいは、晩酌時、お湯割り・水割りに汁をしぼって入れる。中身をそのまま入れてもいい。皮を薄くむいて干したのは浅漬けの香り付けにする。綿は極力カットするのが苦みを避ける知恵というものだ。

同じ浅漬けでも、糠漬けはまだ。間もなく再開するときに風味を増すべく干した皮を加えてもいい。

さて、「自由にお持ち下さい」をどう考えたらいいのだろう。かねがね肥大した果実を欲しがっていたのは確か。ご主人が、そんな人間がいることをふと思い出したか。ただ腐らせるよりは欲しい人がいればさし上げよう――。「譲り合い」「分かち合い」の精神がより必要な時代になった、そうした時代の気分を地域の片隅に見た、と言ったら言い過ぎか。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ポリバケツの外にある3個の夏ミカン。これは演出でしょうか? ふと思いました。
うまい!