2009年6月30日火曜日

アカウミガメ、哀れ


日曜日(6月28日)の午後、わが家で昼寝をしていると、いわき地域学會の若い仲間から電話がかってきた。「沼ノ内の『賽の河原』にアカウミガメの死骸がある。ニュースになりますか」「なる」。おっとり刀で駆けつけた。

「賽の河原」は崖海岸にある海食洞だ。その崖が薄磯の砂浜と沼ノ内の漁港とを分ける。分けるが、洞窟(トンネル)でつながっている。位置的には砂浜と崖が交互に連続する、いわきの海岸線の中間あたりだろうか。

別の仲間の話では、何人かで海岸の地形と植物の勉強会をしていた。漁港の突堤と崖の間には、小さな砂浜がある。砂浜の半分は崖を守るように、波消しブロックとそれを支える大きな砕石が覆っている。アカウミガメの死骸はその砕石の上にあった。

死後1週間はたっているだろう、という。生気はとうに消えて肉が黒ずんでいる=写真。腐臭があたり一面に漂っている。それで、若い仲間も死骸に気づいたのかもしれない。地元の人の話では、50~60年前まではそこらあたりにアカウミガメが上陸して産卵した。その遺伝子が「賽の河原」のそばの小さな砂浜へ導いたか。

きのう(6月29日)の夕方、再び若い仲間から電話がかかってきた。「アクアマリンの職員の話では、メスではなくてオスです。ネットで調べると、ウミガメの死骸があちこちに漂着してるようです」。メスとオスとでは解釈が異なってくる。

メスであれば――。衰弱して狭い砂浜から上陸したのはいいが、産卵場所を見つけられずに砕石の上で息絶えた? オスであれば――。漁網に引っかかって水死し、大しけの日に波消しブロックを越えて打ち上げられた?

崖は、上部が照葉樹の緑で覆われている。タブノキの赤い若芽がやけに目立つ。トベラも生えている。

むき出しになった岩は、いわき地方でいう堆積岩の「カチグリ」ではないか。「カチグリ」は風化するとボロボロこぼれる。落下した岩のかけらもある。絶えず崩落が起きているようだ。「賽の河原」の入り口には落石防止の“屋根”があった。

アクウミガメは素人目にも、砂浜を“墓地”にしてねんごろにとむらうしかないのだと分かる。いわゆる廃棄処分だ。哀れなことだが、そうしないことには腐臭はおさまらない。

3 件のコメント:

しらいし さんのコメント...

カチグリについてお教えいただけますか。
最近いわき人になり、カチグリという言葉を聞きこちらを拝見しました。カチグリについて知りたいのですが他に情報なく、おわかりになる範囲でしらべるアドバイスお願いできませんでしょうか。
過去の記事への突然コメントで失礼します。

タカじい さんのコメント...

私も、風化しやすい堆積岩、という以外はよく知りません。地質関係の人は良く知っていると思います。

しらいし さんのコメント...

ありがとうございます。