2016年2月17日水曜日

フユシラズ?

 見たこともない黄色い花が白い山砂の庭に咲いていた=写真。花の径はおよそ1センチ。葉も厚めで毛が生えている。植物図鑑で見た高山や寒地の花にそういうのがある。冬の花にはちがいない。
 日曜日(2月14日)、夏井川渓谷の隠居へ出かけた。庭のすみっこに三春ネギと辛み大根が残っている。この時期、大根の葉はあらかた枯れ、ネギも地上部は短い葉だけになっている。雨がやんだ昼下がり、庭のウオッチングを始めたら、ネギの溝のそばに小さい黄花があった。なんだ、これは――。

 2013年の師走、全面除染で庭の表土がはぎとられ、山砂が投入された。それから2年余がたった今、市から再モニタリング調査を実施するかどうか、という手紙が来た。自分でも半年に一度は放射線量を測っている。孫たちも遊びに来る。第三者のデータが手に入ればなお安心だ。同意書を届けた話を、きのう(2月16日)書いた。

 山砂で覆われた庭は砂浜となんら変わらない。日光を照り返してまぶしい。冬は緑が消えるから、なおさらだ。

 除染から初めての春、白い庭にスギナが生えた。地下茎が広範囲に残っていたためだろう。同じように残っていた鱗茎からスイセンが芽を出し、花を咲かせた。実生(みしょう)のカエデやフジもあらわれた。翌年はスギナのほかに、オオイヌノフグリやアカツメグサ、シロツメグサ、キンポウゲ、ニワゼキショウ、ハハコグサが花をつけた。そして今年(2016年)、冬の黄花だ。

 ネットで調べたら、「フユシラズ」というものらしい。地中海沿岸が原産地の一年草だ。園芸種として日本に入ってきたのが空き地などで野生化した。そうか、わが隠居の庭は、フユシラズにとっては格好の「空き地」なのだ。

 この冬は暖冬で推移している。フユシラズはいわきの平地にもあてはまる。私はもともと、いわきの平地には冬がない、あるのは「春、夏、秋、ちょっと寒い秋」、つまりいわきの平地民はフユシラズだ、と思ってきた。この冬は特にそれを実感している。
 
 いずれにせよ、フユシラズの出現は、震災前のように土いじりに精を出せ、というサインにはちがいない。庭を「空き地」にしてはおけない。

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