きのう(2月20日)は宵の6時半から、BS-TBSの30分番組「太陽と大地の聖地
上田・別所温泉を巡る旅」を見た。土曜日のこの時間はふだん、晩酌をしながら地デジ放送を見ている。BS放送を見る気になったのにはわけがある。
いわき観光まちづくりビューローが、レイライン(光の道)研究者の内田一成さんに依頼して、いわきの「聖地観光」の可能性を調査している。おととい、いわきでその報告会が開かれた(いやあ、驚くほどの人の入りだった)=写真。先行実例として、別所温泉(別府温泉ではない)が紹介された。
夏至や冬至、春分・秋分といった節目の日に太陽の光と結ばれる「聖地」がある。最新の地質学データやGPS(全地球測位システム)を利用し、聖地の構造を科学的に分析する研究も進んでいる。わけのわからない「パワースポット」とは違って、合理的に聖地性の理由を説明できる。それがレイライン。
別所温泉がレイラインを活用し、「聖地温泉」として発信を始めたら若い女性の心をとらえた。
「信州の鎌倉」がそれまでのキャッチフレーズだったという(いわき市にも似たような言葉がある。「東北の湘南」。すっかり手あかにまみれてしまった)。レイライン資源を掘り起こし、新しい概念として「デトックス」(温泉の力で日常の毒を出す)と「チャージ」(太陽と大地のよい「気」を心身に満たす)が「信州の鎌倉」に加わった。
JRの観光パンフレットには、「信州・上田/太陽と大地の聖地温泉で/『デトックス』と『チャージ』」とある。BSの番組は、若い女性タレントが内田さんから別所温泉の聖地性を聴くというかたちで展開した。
報告会ではもう一例、玄界灘に面した福岡県福津市の「宮地嶽(みやじだけ)神社」のレイラインが紹介された。「嵐」が出演するJALのテレビCMがずばり「光の道」を映している。子どもらに誘われて「嵐」のメンバーが石段を上ったあと、後ろを振り返る。すると、まっすぐに伸びた参道の先の海に日が沈むところだった。
それがちょうど今の時期。ネットで検索したら、きょう(2月21日)から24日まで同神社で「光の道・夕陽のまつり」が開かれる。ストリートビューを見たら、海辺に一の鳥居、神社近くの交差点に二の鳥居、石段前に三の鳥居が立っている。
にしてもなぜ、「夕陽のまつり」が今なのか。内田さんと2、3回話したおかげで理由が説明できる。
参道が東西の方位なら、春分・秋分の日に参道の先に日が沈む。ところが少し南に寄っている。太陽は冬至のときに最も南に位置し、夏至のときに最も北に位置する。日の出・日の入りの場所は、冬至の日と夏至の日の位置を両端に、北上・南下を繰り返している。で、春分の日よりほぼ1カ月早く参道の先に日が沈む。秋はその逆。去年(2015年)は10月18日あたりだった。
いわき市平山崎、専称寺の夕日がいよいよ気になってしかたがない。歴史研究家の故佐藤孝徳さんから春分・秋分の日、専称寺本堂の裏山中央に日が沈むと教えられた。裏山は竹林で鞍部になっている。そのへこみに沈む夕日は、西方浄土へ死者を導く「山越(やまごえ)の阿弥陀」そのものだ。
2カ月前の冬至(12月22日)に、夏井川の左岸から対岸の専称寺を見た。沈んだ地点は本堂の南側、11時の方角だった。やはり、夕日は春・秋分の日に裏山に沈のだろう。
春分の日までほぼ1カ月。きょうの小名浜の日の入りは午後5時22分。平もそう違わない。山崎のどの位置に日が沈むか、街の帰りにでも確かめてみよう。冬至のときよりは北に、つまりより本堂に近づいているはずだ。――肝心のいわきのレイラインは? それは別の機会に。
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