先日、「シャプラニール=市民による海外協力の会」の創立メンバーの一人からファクスが入った。古くからの友人である写真家中島秀雄さんの写真展が、2月7日(あした)から28日まで、いわき市平字紺屋町のギャラリー「コールピット」で開かれる。ぜひ足を運んでみて――とあった。
知人は、バングラデシュが独立したばかりのころ、いわき市出身の私の旧友と一緒に現地へ農業支援に赴いた。美大出身で、デザイン事務所を経営している。旧友とは縁遠くなったが、3・11後、シャプラがいわきへ支援に入ったこともあって、知人とは深いつながりができた。シャプラのツアーでいわきへ来たり、シャプラの総会時に東京で会ったりしている。
ファクスには「追伸」があった。いわき市立美術館にかつて勤めていた南嶌宏さん(女子美大教授)が1月に急逝したことが記されていた。私は、名前は知っていたが付き合いはなかった。
ほどなく、中島さん本人から写真展の案内状が届いた=写真。中島さんは、ヨセミテ渓谷のモノクロ写真で有名なアンセル・アダムスが考案した「ゾーンシステム」という写真哲学を継承し、写真プリントを芸術の領域まで広げたと、知人は絶賛している。「Hydroelectric Power Station 水力発電所は今」というテーマにも引かれた。
夏井川渓谷へ通うようになって21年。冬、いやそこは主に早春、本州南岸を通過する低気圧の影響で、平地と同じく雪が降ることがある。雪がやんだあとの渓谷の風景は神々しい。それを写真に撮ろうとするとなぜか、いわきの画家松田松雄の晩年のストローク画法と、アンセル・アダムスの雪の木々の写真を思い出す。
「ゾーンシステム」は「明るい部分は明るく、暗い部分は暗く」という、実風景に近い「露出」の決め方をいうらしい。私のようなアマ・甘には、その両立は難しいが。
中島さんは、再生エネルギーが注目される現在、福島県内にある水力発電所を大判カメラで撮影したという。確かに、案内状のモノクロの写真は、晴れているのに光と影がほどよく抑えられている。
で、いわきの水力発電所は見たのかどうか。まだだったら、水力発電所のある夏井川渓谷へ案内してもいい。水力発電所に人がいたときの暮らしと、無人になった現在の様子と、その両方を知っている人たちがまだ地元にはいる。考えようによってはきわめて「福島的」な地なのだから。
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