2016年2月11日木曜日

隠居の隣の水力発電所

 夏井川渓谷の隠居の西隣は、水力発電所の社宅跡地だ。つり橋を渡った対岸に、モダンな建物がある。建物の雰囲気が好きで、ときどき写真を撮る。1カ月前にもつり橋を入れて全景を撮った。取水堰(ぜき)や導水路、排水路、送電鉄塔なども撮る。 
 大震災前の2008年11月中旬(もう7年がたつのか)。小川町商工会(紅葉ウオーキングフェスタ実行委員会)が主催して、隠居の東隣の「錦展望台」を集合・発着場所に、初めて「夏井川渓谷紅葉ウオーキングフェスタ」が開かれた。週末だけの「半住民」である私も、地元住民のひとりとしてコースの案内人になった。

 スタート地点にある水力発電所が、ウオーキング参加者に限って公開された。「水車ケーシング」を初めて見た。
 
 2月7日からいわき市平字紺屋町のギャラリーコールピットで中島秀雄写真展「Hydroelectric ower tation 水力発電所は今」が開かれている=写真。2月6日付の拙ブログで告知をし、初日に見に行った。中島さんはいなかったが、ディレクター氏と少し話をした。

 案内状に2枚、写真が載っている。「水圧鉄管」は会津地方(東京電力)の、「水車ケーシング」はいわき地方(東北電力)の、しかもわが隠居の前の夏井川第二発電所のものだった。夏井川第一発電所の全景、小玉川第二発電所のモダンな建物の写真もあった。
 
 先日の告知のなかで「いわきの水力発電所は見たのかどうか。まだだったら、水力発電所のある夏井川渓谷へ案内してもいい。水力発電所に人がいたときの暮らしと、無人になった現在の様子と、その両方を知っている人たちがまだ地元にはいる。考えようによってはきわめて『福島的』な地なのだから」と書いたが、要らぬ世話だった。
 
 きのう(2月10日)は午後、いわき芸術文化交流館アリオスで小泉純一郎元首相の講演会が開かれた。「福島県内の全原発の廃炉を求める会」が主催した。日本の原発すべてを廃炉にしても日本経済は大丈夫、自然エネルギーでやっていける――明快だが、首相のときにそちらへ舵を切ってくれていたらと、複雑な思いになった。
 
 阿武隈高地は、今や風力発電の一大基地になりつつある。生まれ育ったふるさとの山々のスカイラインにニョキニョキ風車が立ち並ぶ。私は、できればそういう光景は見たくない。少年時代の記憶が汚されるようでたまらなくなる。自然エネルギーにもそういう影はある。
 
 現実の政治を思えば、元首相の話に留飲を下げるだけてはいられない。ま、それはさておき、この週末は久しぶりに夏井川第二発電所を見に行こう。

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