夏井川渓谷の隠居の庭にアラゲキクラゲとヒラタケの生える木がある。木の名前はわからない。風で折れた小枝が庭の入り口に落ちていた。アラゲが少し生えている。大きいのは径1センチ=写真、残りは米粒程度だ。キノコの生える木の枝だろうか。
庭より一段下がった空き地のへりの木には、冬になるとエノキタケが生える。エノキタケは一晩、水にひたしてごみを取ったあと、みそ汁にする。市販されている白いエノキタケと違って、天然のエノキタケはナメコ並みに茶色っぽくて粘性がある。ここ数年はしかし、エノキタケの姿を見ない。
それでも、冬には必ずエノキタケの木をチェックする。ウオッチングを怠ると、次に見たときにバくされていた、ということがあるからだ。同じように、春から初夏にかけては草木のウオッチングを欠かさない。花から木の名前を覚えていった。ところが、アラゲキクラゲの木にはどんな花が咲くのか、記憶がない。で、今も気になる木のままだ。
原発事故後はキノコを採って食べることがなくなった。庭の一部を畑にして土いじりをし、あきたら周囲の森を巡る。その逆のときもある。どちらにせよ、自然にどっぷりつかりたくて渓谷に通っていたのだが、このごろは何のために隠居へ行くのか、わからないときがある。だからこそ、同じところ、同じものを見続けることでわかるものがある、と自分に言い聞かせる。
庭に落ちていた小枝を見てひらめいた。アラゲキクラゲを栽培してやれ。といっても、小枝を自宅に持ち帰り、いちばん湿気のある風呂場に水を張ったバケツを置き、そこに小枝をつっこんでおくだけだが。
きょう(2月20日)でほぼ1週間。アラゲは同じままだ。大きな木の幹や枝だと、生長すれば大人の耳の倍以上になるのだが、鉛筆ほどの小枝では栄養が足りないのか。
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