平沼ノ内に「弁天様」で知られる「賢沼寺(けんしょうじ)」がある。落葉広葉樹と照葉樹に囲まれた「賢沼(かしこぬま)」が有名だ。賢沼は「ウナギの生息地」として国の天然記念物に指定されている。
弁天様は阿武隈の山の向こう、田村郡の子どもたちにもなじみがあった。確か小6のとき、小名浜港への日帰り修学旅行で立ち寄った記憶がある(別の記憶とごっちゃになっているかもしれない)。
そのころは文字通り、天然のウナギの姿も見られた。観光客は沼に張り出した「魚見堂」から、境内のみやげ品店で買ったえさをまく。
すると、激しい勢いで大きな緋鯉や真鯉が食いつき、それらに混じってウナギが姿を現したものだった。
いわきに根を生やしたあとも、子どもを連れて訪れた記憶がある。そして、これは偶然だが、先々代の住職の家族とも知り合った。
寺と沼は薄磯と沼ノ内の漁村をつなぐ旧道沿いにある。今は薄磯のカフェ「サーフィン」へ行った帰り、たまに寺の前を通るだけになった。
年明けの新聞に、1月4日まで寺で「騎馬詣(もうで)」を実施している、という記事が載った。
それを読んだカミサンが声を発した。「見に行こう」。正月3日には絶対行く、という口ぶりだった。
箱根駅伝を見終わってから出かけた。騎馬詣は境内で行われていた。それとは別に、広い駐車場の一角を囲った柵のなかに馬が1頭いた。脇の囲いにはポニーとヤギとヒツジ。
馬を飼っているのは「旅人牧舎。」で、前は湯ノ岳で営業していたが、現住職の計らいで寺の敷地に移ってきたそうだ。
寺の敷地を新天地にしたこともあって、「騎馬詣」が企画された。そちらはともかく、馬を見るだけでもおもしろい。
入場料は1人500円だった。カミサンはえさのニンジンを買い、馬に与えて鼻先をなでる=写真。私はそばで見るだけだ。
観光客は、ウナギの姿はもうだいぶ前から見ていない。それでも、賢沼は弁天川で太平洋とつながっている。その河口には震災後、防潮水門が設けられた。
ウナギの稚魚が上って来るのは、この弁天川河口からすぐのところに注いでいる側溝のような水路を伝ってだろう。
沼の前にある弁財天のお堂に参詣したあと、カミサンがそばの売店に立ち寄って質問した。
そばで聞くともなく聞いていると……。「ナマズはもういないんですか」。えっ、なんてことをいう!
「ナマズじゃないよ、ウナギ、ウナギ!」。いっぺんに正月気分が吹き飛んだ。それに対する店側の答え。「ウナギの稚魚は上って来ます」。ナマズと思い込んでいる観光客が多いのかもしれない。
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