2026年7月16日木曜日

いらんことして!

                               
 なにか心に残る新聞記事があると、切り抜いて取っておく。アメリカとイスラエルのイラン空爆以来、トランプ大統領に関する切り抜きが増えた=写真。こちらは疑問と不安が深まるばかりだからだ。

 トランプ氏が初めて大統領に当選したとき、「背広を着た悪漢レスラー」の登場をイメージした。

ほんとうのレスラーではないが、背広のままリングに上がる――プロレスファンの間では、トランプ氏のプロレス好きは知られていた。

その実業家が大統領に就き、民主党のバイデン氏のあと、再びホワイトハウスの主になった。

大統領としても、実業家そのままの「ディール(取引)」で外交交渉をすると、メディアは伝える。

一方では奇襲もいとわない。ベネズエラに続いて、イランにも突然、牙をむいた。すると、ホルムズ海峡の封鎖を招いた。

エンタメのプロレスならわかる。少なくとも観客にはリングの荒事の被害は及ばない。ところが、現実の戦争となると、そうはいかない。

アメリカとイスラエルが仕掛けたイラン戦争で原油が高騰し、ガソリンや灯油のみならず、石油由来の製品の高騰・不足が起きた。

消費生活の現場だけではない。建材をはじめ、さまざまな業種に海峡封鎖の影響が出た。

戦争当事国を越えて、地球上すべての庶民の暮らしに影響が及んだことを、大統領はわかっているのだろうか。そこに思いが至らないのであれば、そのこと自体が問題だが。

イランとアメリカが戦争終結に向けて覚書を交わしたと思ったら、すぐまた戦いが再開した。

しかも、どちらも海峡を「再封鎖」するという。そのうえ、今度は米国も「通航料」を取ると言い出した。さすがにこれは、翌日には撤回した。このご都合主義、言葉の軽さも不安を募らせる。

悪漢レスラー並みの「マッチ・ポンプ」のような発言が繰り返される。プロレスと現実の政治をごっちゃにすることはないだろうと思いながらも、危なっかしくてしようがない。

6月7日の「笑点」がそのへんの庶民の不安を代弁していた。「お題」のひとつに「○○に乾杯」があった。

立川晴の輔は「世界平和に乾杯」と題して、その「心」を解いた。イランにひっかけて「トランプ大統領 いらんことすな!」。これには爆笑した。

80歳。私よりは2歳年長だ。アメリカの建国250年記念と自身の誕生日に絡めて、ホワイトハウスで格闘技イベントを開き、サッカーのワールドカップでは、主催者に電話を入れて自国の選手のレッドカードを棚上げにした。これも「いらんことすな!」だ。

「イスラム共和国日本」に至っては、「いらんこというな!」を通り越してあ然となった。

権威主義者は「公職に就くことで権力を固め、利益や富を得ます」(元ニューヨーク大学教授ルース・ベンギアットさん)。そのためには戦争も辞さない? まさかそんなことはないと思うのだが。

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