2016年2月9日火曜日

サイドミラーをつつくシメ

 日曜日(2月7日)。いわき駅裏、お城山の急坂を上っていたら、突然、「カタカタカタッ」と小さく乾いた音がする。見ると、林の前の旅館の駐車場に車が止まっていて(ナンバーは北海道のものだった)、左サイドミラーに鳥がいた=写真。たまたま望遠レンズ付きのカメラを持っていたので、10メートルほどの距離から何枚か撮影した。
 ミラーの前に陣取ってミラーをつついたかと思うと、ミラーの上に移って裏を、向きを変えて自分の後ろを見る。で、またミラーの前に陣取ってはミラーをつつく。「カタカタカタッ」。それを繰り返している。

 そこはいわき市の指定史跡、旧磐城平城の「塗師櫓石垣」のそば。お城山はすっかり宅地化された。石垣は当時の城の姿をとどめる貴重な遺構のひとつだ。東日本大震災では上半分が崩落した。

 江戸時代、磐城平藩は徳川譜代として北方の伊達藩に対峙した。今は、いわきは原発事故収束作業や除染作業にあたる人間の前線基地だ。江戸時代も現在も、江戸(東京)のための北のトリデ、というわけだ 。

 それはさておき、石垣と林に面した狭い空間で同じことを繰り返している鳥は――。ずんぐりしたくちばしと体、顔や背・腹の色からして、最初はコイカルの雌と思ったが、図鑑で確かめたらシメだった。コイカルもシメも冬鳥だ。

 どういうわけか、鏡に映る自分を攻撃する鳥がいる。テリトリーをおびやかす存在と思うらしい。車のサイドミラーかカーブミラーでそれをやる。留鳥のカラスやセキレイ類、冬鳥のジョウビタキの行為が目撃されている。

 この日午前、お城山で鷹匠を招いてのイベントが開かれた。イベントからの帰りに見ると、シメはやはりミラーをつついていた。1時間、いや2時間……。エンドレスだ。人間は眼中にない。こういった変な“事件”がときどき、地域のすみっこで目撃される。

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