2008年7月20日日曜日

ヤマユリと梅雨明け


昨日(7月19日)、東北地方の梅雨が明けた。梅雨入りは6月19日で平年より9日遅く、梅雨明けは平年より4日早かった。梅雨期としては、31日間は短い方だろう。期間中の降水量は101.5ミリ、平年の7割弱というから、空梅雨だった。

この日午後、いわき市文化センターでいわき地域学會の市民講座が開かれた。講師は不肖、この私。「三春ネギのお話」と題して1時間ほど駄弁を弄した。歩くだけでも熱中症になりそうな蒸し暑さの中、足を運んでくれた人たちには深く深く感謝したい。雑談(質疑応答)のなかで市販ネギの味気なさを訴える人が何人かいたのが、面白かった。

週末である。市民講座のあと、夏井川渓谷(いわき市小川町)の無量庵へ車を走らせた。渓谷の緑のトンネルに入ると、道端のヤマユリが大輪の花を咲かせていた=写真。火曜日(7月15日)にはまだつぼみだったから、水曜日以降に一斉に咲きだしたらしい。蒸し暑さにげんなりし、しゃべり疲れていた頭と体が、急にシャキッとした。

記憶の蓄積の作用とでもいうのか、ヤマユリの白い花を見るとすぐ入道雲の広がる夏空を連想する。

阿武隈高地で過ごした子ども時代、町の裏にある雑木山が遊び場の一つだった。夏休み、セミを捕りに山へ行くと、道端にヤマユリの白い花が咲いていて、強烈な香りをまき散らしていた。毎年、ヤマユリの花を見るとその記憶が立ち上がり、梅雨が明けて夏がきたことを実感するのだ。

無量庵にあるヤマユリの花を1輪、つぼみを1輪切って、テーブルに飾った。小中学生の夏休み初日、梅雨が明けた日、今年初めてヤマユリの花を見た日――。独酌しながら、それらの重なりを面白おかしく感じているうちに、やはりまだ屈託とは無縁だった子どものころの夏休みの思い出が次から次にわいてくるのだった。

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