2008年7月25日金曜日

ノウゼンカズラと竹ぼうき


ノウゼンカズラの花が咲き出した。赤みがかった「ラッパ」が次から次に色の音楽を奏でる。一夜明ければそのままの形で地面に落ちている。一日花らしい。

中国原産の落葉つる植物だが、鮮やかな花が好まれるのか、あちこちの庭に植えられてある。この十数年、四季を問わずに見てきたノウゼンカズラも、どっさり花を付け始めた。週末、平から夏井川渓谷へ泊まりに行く途中の道沿いにある。

民家の庭の一角、もとは外灯かなにからしい鉄柱に巻きついたつるはニシキヘビ並みに太い。それが夏になると独立樹のように葉をまとい、花を咲かせる=写真。花の時期には必ず根元に竹ぼうきが立てかけて(というより、つるして)ある。毎朝、地面に落ちた花を掃き集めているに違いない。この十数年、変わらない光景だ。

それ以前にも竹ぼうきはつるしてあったことだろう。なにしろ花の数が半端ではない。それが、毎朝落ちているのだからほうってはおけない。花をめでながらも掃き掃除を日課にしなくてはならない人間の心理が、つるされた竹ぼうきによくあらわれている。

1週間に一度、その前を往復するだけの人間にさえ印象深い「ノウゼンカズラの木」だ。毎日通勤・通学しながらその前を通る人にはなおさら忘れ難い植物だろう。ノウゼンカズラといえば真っ先にこの花が思い浮かぶのではないか。夏の原風景の一つといってもいいくらいの美形として。

そして、私には竹ぼうきが物語る花と人間のかかわりがゆかしく思われる。花言葉は「名声・栄光・名誉・女性」。なるほど、誇り高く妖艶な感じがしないでもない。

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