2008年7月17日木曜日

インゲンの素揚げ


日曜日に野菜を直売する「三和の里うまい菜市」では、主催者がちょっとした手料理を持ち寄って客に振る舞う。去年、Nさんがつくったインゲンの素揚げを食べて病みつきになった。

作り方はいたって簡単。取り立てのインゲンを素揚げにして、おろしショウガとニンニクを加え、薄めためんつゆにひたしておくだけ=写真。冷蔵庫で冷やしたのを取り出して酒のさかなにする。ひんやりして、軟らかい。夏の暑い盛りにはもってこいの一品だ。

わが菜園のつるなしインゲンが花を咲かせ、実をつけるようになった。自分で栽培して分かったのだが、インゲンはしっかりしていて軟らかいのがイノチだ。いわきは山間部の川前・三和が産地。かつては「インゲンといえば川前」の高い評価を市場で得ていた。「うまい菜市」のインゲンも川前に負けてはいない。

『昆虫記』で知られるファーブルは無類のインゲン好きだった。『ファーブル伝』イヴ・ドゥランジュ著/ベカエール直美訳(平凡社刊)に、こうある。

「この世に神様の野菜があるとすれば、それはぜったいにインゲンだ。インゲンはそれだけであらゆる長所をもっている。しなやかな歯ざわり、心地よい旨味、豊富さ。そのうえ、廉価で滋養がある。(中略)プロヴァンス語はその役目をうまく表現して、インゲンのことを『グンフロ=グス(腹を膨らませる豆)』と呼んでいる」

フランス料理に欠かせない食材とはいっても、庶民が口にするもの、という点では東も西もない。それをうまく食べようと一工夫したのが、素揚げのめんつゆびたしだ。ハマにはさまざまなカツオ料理がある。それと同じように、ヤマにはさまざまなインゲン料理があるのだ。

「三和のスローフード」の一つ、「インゲンとナスの油みそ」は夏のピリカラ食欲増進おかずだ。冷蔵庫に入れておけば1週間~10日はもつという。「インゲンとジャガイモの煮物」は定番。阿武隈高地では普通に食される。「インゲンの佃煮」なるものもある。

素揚げだけでなく、インゲンをもっともっと楽しもう。といっても、カミサンに料理の注文を出すだけではしかられる。油みそなら、なにか加えるものを増やすなどして独自のものができるかもしれない。論より証拠を示せ(自分でやりなさい)、ということになりそうだが。

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