2008年7月26日土曜日

チョウゲンボウの停空飛翔


夕方、夏井川の河川敷にあるサイクリングロードを歩いた。日没までは1時間余、まだまだ昼の蒸し暑さが残る。上着を汗でびっしょりぬらした熟年ウオーカーもいた。

首からデジカメをぶら下げるのはいつものことだが、レンズを換えた。105ミリのズームレンズが家の中から出てきたので、それを装着した。なにかあれば試し撮りを――。身構えながら行くと、早速、被写体が空に現れた。ハヤブサの仲間のチョウゲンボウだ。

チョウゲンボウが随分低い所でホバリング(停空飛翔=空中静止)をしている。散歩の人間が近づいても気にしない。旋回してはホバリングをし、ホバリングをしては旋回する。二度ほど草むらに舞い降りたが、獲物(ネズミ?)をつかむまでには至らなかった。いつも成功するとは限らないのだろう。

鳥とはいえ、重力に逆らって空中に静止しているわけだから、ホバリングにはかなりのエネルギーを使う。メスはそれで、より体の小さいオスをパートナーに選ぶのだという。体の大小でホバリングの時間に差が出、獲物を捕らえる回数が違ってくる。となれば、子育てにも影響する。

チョウゲンボウのホバリングを見ると、私は決まって体操競技のつり輪を連想する。筋肉隆々とした男子選手にとって、腕を水平にして体を支える「十字懸垂」や、下向きに垂直に立てた腕で体を水平に支える「水平支持」は力のみせどころに違いない。その延長で重力を感じさせないホバリングにもぐっと力が入るのだ。

レンズを通して見ると、チョウゲンボウのホバリングは影絵になる。山にもやがかかっているくらいだから、晴れの日より光は弱い。それでもめったにないチャンスだ。目いっぱいレンズを伸ばしてシャッターを押し続けた。デジスコのような写真ははなから無理だが、証拠写真にはなる。

空に浮かんだ小さな影絵である。写真にしてみると、尾羽の広がり具合や翼のかたちが分かる。私のレベルではまあまあの出来というべきか=写真。

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