2008年9月13日土曜日

ダンスをする白菜苗


ポットに白菜の種をまいて4週間。いよいよ定植の時期がきた。

きょう(9月13日)は午後、夏井川渓谷の無量庵へ行く。着いたらすぐうねをつくり直し、たっぷり水をやって、日がかげった夕方、白菜のポット苗を定植する。朝に定植すると、活着前に直射日光を浴びてしおれてしまうことがあるのだ。一夜の緩衝時間帯があれば、間違いなく根も新しい土になじむだろう。

この4週間、目の届くわが家で育苗したから安心、というわけでもなかった。葉を食べる虫がいる。大地と違ってポットの土はすぐ乾く。曇りの日はまだしも、快晴になると水分が蒸散して土が白くなる。すると、苗もティッシュペーパーのようにしおれてしまう。

それを放置したら枯れてしまう。その前に日陰に移し、ほてりがさめたら水をやる。しおれた葉は水を含むとどうなるか。のどの渇きをおぼえた人間が水をゴクゴク飲むように、根から茎へ、茎から葉へ、葉の隅々へと水分が行き渡るのが見える。「見える」のは、しおれていた葉がピクン、ピクンと痙攣したように動き出し、立ち上がるからだ。

葉っぱのダンス。そっちのポットでも、こっちのポットでもピクン、ピクン。冬にも同じような光景に遭遇したことがある。霜をかぶって地に伏していた大根の葉が朝日を浴びてピクン、ピクンと立ち上がる。ピクン、ピクンがうねのあちこちで起こる。葉っぱのラインダンス。

白菜苗の葉っぱのダンスは水分が隅々にまで行き渡った証し。そのありさまを見ていると、植物の精妙・精巧な構造に心打たれる思いがする。乾いた土に水が浸透する。じっと湿り気を待っていた白根たちが水分を察知してエンジンをかける。葉っぱの先端へと水分がポンプアップされる。生気を取り戻す葉っぱたち=写真。

定植後は、苗は大地の仕組みに身をゆだねるしかない。人間もまた、太陽と雨と土が苗を育てるのを見守るしかない。初冬の収穫を夢見て、そのときまで。

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