2008年9月18日木曜日

「森のゼリー」を採って来た


オオゴムタケは今ごろの季節、湿気がこもる林内の立ち枯れ木や倒木に発生する。全体が黒褐色をした逆円錐形(表面はくりぬく前の臼=うす=に似る)で、見た目はさえない=写真。しかし、シリコン状の弾力がある。ぽよよ~んとした感じが食菌・オオゴムタケの特性だ。

オオゴムタケを取り上げた料理本は少ない。手元にあるキノコ関連本(図鑑を含む)も記載の有無は半々といったところ。たぶん、形と色とが見た目を重視する日本人の感性に合わないのだろう。

7年前(2001年)に発行されたいわき市観光まちづくりビューロー(当時・いわき市観光協会)のポシェットブックス2『いわきキノコガイド』には、オオゴムタケが載っている。それ1つで、私は体験的・専門的な知に裏付けられた格好の案内書、とこの本を評価する。

食べ方をこう紹介している。「外皮を取り除き、さっとゆがいて辛子あえ、マヨネーズあえ、きなこをまぶしてのデザートなどによい」

私は子嚢(しのう)が形成される表面だけを取り除き、薄くスライスして酢醤油で食べる。無味無臭。内部は半透明のゼリー状。プリンよりは硬いがコンニャクよりは軟らかい。はっきりいって珍味である。酒の肴である。以前は「森のなまこ」と形容していたが、今は「森のゼリー」と呼んでいる。洋がらしが合う。

前にも書いたが、普段はオオゴムタケのことなどは忘れている。記憶の底に沈んで埋もれている。ところが、体が大気に反応するらしい。朝晩ひんやりして残暑がきつい今ごろ、<あそこでオオゴムタケを採ったな>と体が教えてくれる。採取した場所が脳裏に写し出されるのだ。そうなると、じっとしてはいられない。朝飯前に車を走らせる。

ピンポイント作戦で直行する。カラ振りも、図星もある。おととい(9月16日)は図星だった。オオゴムタケだけでなく、ヒラタケもあった。今朝もこれから車を走らせて、ヒラタケの様子を見て来ようと思っている。

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