2008年9月12日金曜日

スズメのお宿とコウモリ


いわき市平の国道6号常磐バイパス終点は「神谷(かべや)ランプ」と呼ばれる。「ランプ」は「本線車道への斜道」を意味するという。その斜道のり面に「草野の森」がある。

バイパスの全線開通を記念して、2000年3月、宮脇昭横浜国大名誉教授の指導で地元の小学生らが照葉樹のポット苗を植えた。照葉樹はいわきの「ふるさとの木」(潜在植生)。これらを密植・混植して「ふるさとの森」を再生しようという試みである。その苗木が育って、若いがこんもりした約800平方メートルの「緑の小島」ができた。

朝晩、散歩の途中にこの森の前を通る。照葉樹になじんでおこうという意味合いもある。なにせ阿武隈高地生まれだから、照葉樹とは縁がないまま大人になった。どれがどの木か、標識板と現物を照らし合わせて頭にたたきこむのだが、すぐ忘れる。それを繰り返す。

この若い森にも鳥たちがやって来る。春は早朝にウグイスがさえずっていた。今は夕方、スズメたちが群れ集まる。スズメのお宿になったらしい。日が沈んで、影絵のようになったスズメたちがワイワイガヤガヤやりながら、止まる枝を探す=写真。

その上をヒラヒラ飛ぶのはコウモリ。毎日、日が沈むと青黒い空を背景に、鳥だかチョウだか分からない飛び方をする。コウモリはしかし、よく分からない。いわき総合図書館で調べたら、アブラコウモリに関するこんな記述が目に留まった。

「平地の人家付近に棲息する」「山間部とか家屋がない森林内には棲息しない」「日中は家屋の天井裏、羽目板の裏、戸袋などに潜んでいる」「夕方まだ明るいうちから飛び出して、空き地の上、川の上などを飛びながら、飛翔している昆虫類を捕食する」「われわれが町中でよく見かけるのは、このコウモリである」

アブラコウモリかどうかは不明だが、コウモリは「草野の森」を通過して、近くの夏井川の上へ虫を捕食しに行くようである。その姿を写真に、と思っても、私のウデでは無理。動きが予測できないし、薄暮時の撮り方が分からない。そうなるとかえって、いつかは写真にと、コウモリへの執着が強くなる。

「草野の森」から住宅街へ入ると、コウモリが目の前までやって来て、ヒラリと方向転換をした。意外と大きい。同じ「影絵」の比較では、スズメより翼が長い感じを受けた。チョウでいえば、オオムラサキを一回り大きくした感じ。これが薄暮時になると、何匹も神谷の空を飛翔するのだ。

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