2008年11月9日日曜日

吉野せい賞表彰式


いわき市立草野心平記念文学館できょう(11月9日)、第31回吉野せい賞の表彰式が行われた=写真。選考委員として初めて表彰式に出席した。表彰式のあと、作家の村松友視さんが「人間は最高の風景」と題して記念講演をした。講演内容についてはいずれ触れるようにしたい。

選考委員は5人。昨年までは3人による一次選考と、5人全員による二次選考を経て各賞を内定し、同賞運営委員会で正式に決定してから発表する、という段取りだった。それが、今年からいきなり5人全員で全作品に目を通す、という方式に替わった。

8月15日に締め切られたあと、応募原稿(コピー)の入った段ボール箱が届いた。小説34編、童話5編、ノンフィクション3編の計42編が入っていた。昨年は64編だったというから、今年はその3分の2だ。おおかたは400字詰め原稿用紙に換算して100枚未満の中編。これを毎日、1カ月半ほど読み続けた。

ふるいにかける基準として【快楽】―【冷静】―【苦痛】の「やじろべい」を頭に置いた。読む【快楽】の度合いが大きいのか、【苦痛】の度合いが大きいのか、可もなく不可もない作品なのか。ただし、【苦痛】の方に「やじろべい」が傾いたとしても、応募者への礼儀として最後まで作品を読み通すことを心がけた。

10月中旬の最終選考委員会の前に、一次選考に当たる委員推薦作品の一覧が届いた。「吉野せい賞」候補作品はこの時点で11編、青少年特別賞候補作品は5編。そんなに的外れではなかったことに安堵する。

とはいえ、過去に奨励賞や準賞を受賞している作者への評価は厳しい。準賞受賞者はせい賞、奨励賞受賞者は準賞かせい賞しか選考の対象にならないから、ほかの作品より優れていても選外になる可能性が大きい。私が推薦したのはおおかたが常連組の作品だったので、1編をのぞいてことごとく選外になった。

表彰式の前に5人の受賞者と懇談した。二、三、作者に確かめたいことがあったので、いい機会とばかりに参加した。作者の生の声を聞いて、あらためて作品に寄り添えるようになったのは収穫だった。

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