2008年11月14日金曜日

村松流マンウオッチング


いわき市立草野心平記念文学館で先日、作家の村松友視さんが講演した=写真。演題は「人間は最高の風景」。「人間って面白い」ということを、少し格調高く「最高の風景」と表現したのだろう。

その人の物の見方・考え方は家族関係や生い立ちで決まる、と言い切る自信はないが、無縁ではあるまい。もちろん、大人になるまでの過程で人と出会い、自然と出合い、話を聞いたり本を読んだりしながら、自分なりの見方・考え方を身につける、というのが一般的だ。

村松さんもまた、そうして小さいころから独自の見方・考え方を培った。ど真ん中を見ない――が、村松さんの流儀になった。異なったアングルで見ると、人間の言動は面白い。おかしくもある。「まじめ」が表通りなら、裏通りの「不まじめ」ではなく、それをつなぐ路地の「非まじめ」、そんなところに村松さんは位置しているようだ。

新興宗教に入るのは「出家」でも、ひっくり返してみれば「家出」。地下鉄サリン事件の前によく見られた光景だ。シンクロナイズドスイミングはてんぷら揚げに似ている――。

あるいは、旅先でのエピソード。地元の人間と会食した際、若い女性が魚のカレイをひっくり返して「私、カレイのB面が好きなの」。電車での女性と車掌のやりとり。「空いてる席は空席ですか」「あいにく空席は満席です」といった話を次々に披露した。何度も爆笑の渦ができた。

「ぼけ」を老人のユーモアと取る。「マイナス×マイナス=プラス」という考え方。リンゴの皮と身の間に一番栄養が詰まっているというが、「皮と身の間とは何?」と悩むこだわりも「非まじめ」のあかしだろう。

「カレイのB面」の連想でいえば、こんなことがあった。市役所には上級職と初級職がある。個性的な上級職員としゃべっていたとき、どんなはずみか上級・初級職の話になった。すると「おれはB級職員だから」。これには大笑いした。最近の秀句は「年を取ると熟睡する体力もない」。笑う代わりにうなずいた。

虚実皮膜をガブッとかじることで人間は一番、人生の栄養を補給している。そういうことらしい。

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