2009年10月7日水曜日

鼓童、じゃんがらを学ぶ


佐渡を拠点に日本の伝統芸能を再創造し、国内外で演奏活動を展開している太鼓芸能集団・鼓童のメンバー11人がおととい(10月5日)夜、いわきを訪れた。平・菅波青年会からじゃんがら念仏踊りをおさらいするのが目的だ。じゃんがら学習歴は既に十年以上に及ぶという。

10月4日・石巻市でワン・アース・ツアー公演を行ったあと、7日の日立市公演に向けて移動中、かねて教えを受けてきた青年会の指導を受けるべく立ち寄った。連絡を受けてけいこ会場をのぞいた。

メンバーはスタッフ、プレーヤーを含め男性5人、女性6人。さっそうとした若者ばかりだ。リーダーの女性はいわき市好間町出身。鼓童には、ほかにいわき関係者が一人、研修生として頑張っているという。

鼓童のホームページによれば、鼓童の舞台は三つの要素から成り立っている。

第一は、日本各地の民俗芸能をそれぞれの地元の人に教えてもらい、佐渡に持ち帰って練り上げた演目だということ。第二は、鼓童の活動に共鳴する作曲家の池辺晋一郎、ジャズピアニスト山下洋輔さんらの作品だということ。第三は、メンバー自身が旅先で出会った人や風景、リズムなどを糧に、独自の表現を生み出そうというもの。

第一の伝統芸能に関して言えば、鼓童が目標とするのは型の再現ではなく、伝統芸能のなかに蓄積されている普遍的な精神やエネルギーを、自らの肉体を通し、新たなかたちに変えて舞台に表出させることだ。

長い時間をかけて大地に根づいた芸能は、そこに暮らす人々や自然との関係を抜きにして成立するものではない。これらはかけがえのない人類の財産だ。ゆえに、伝統芸能への敬意を失うことなく学び続けたい、伝統から教わることによる可能性を現代に生きる人々に広く問いかけたい――という姿勢に共感を覚えた。

さて、練習は踊りと演奏、歌を含めて実践的に行われた。足と手の動き・リズムを目で追い、体でなぞる。女性は太鼓を、男性は鉦を習った。演目のなかである程度は身につけているのか、飲み込みは早い。最後は青年会のメンバーと一緒になって演奏と歌と踊りの輪をつくった=写真。じゃんがらは誇るべき「いわきのリズム」であることをあらためて感じた。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

練習に立ち寄り交流したという現象の考察ではなく、文化が息吹く断面を検証する姿勢に脱帽です。

文化も交流・体験することが「場」の拡がりを多面化させ、地域の存在意義を承認させるものと思います。