2010年8月25日水曜日

ビアトリクス・ポター展


郡山市立美術館で開かれている「ビアトリクス・ポター展」は、絵本の「ピーターラビット」たち=写真=の作者としてだけではなく、ナショナルトラスト運動の理解・賛同者としての彼女に引かれて出かけた。

ナショナルトラスト運動は英国が発祥の地。「ピーターラビット」で得た土地は「ピーターラビット」たちへ――ビアトリクスが購入した農場などをボランティア団体の「ナショナル・トラスト」に寄託することでイギリスの湖水地方の景観は守られた。その一点だけも展覧会を見る価値がある。

わが子が幼かったころ、「ピーターラビット」は彼らの友達だった。その子どもが父親になった。今度はその子ども、つまり孫が友達になる番だ。なるかどうかは、孫次第。孫と絵本はこれからの話として、ポターの絵の力も再認識した。

ナショナルトラスト運動と美術は、自然環境を守る=景観を保つという点では、切っても切れない関係にあるのだろう。その団体創設には美術評論家のジョン・ラスキンがかかわったという。

ラスキンの名前から思い浮かぶのは、「ラファエル前派」のダンテ・ゲイブリエル・ロセッティら。彼らの作品は明治から大正時代にかけて日本に入って来た。

大正時代後半、一気に黄金時代を迎えた「童謡」について言えば、金子みすゞは、師の西條八十が翻訳したダンテ・ゲイブリエルの妹クリスティーナの詩を「お気に入り」の一つにした。みすゞが影響を受けた詩人や画家を逆に追いかけると、「ラファエル前派」にたどり着く。

で、みすゞがクリスティーナの先に見ていたのはだれ? ビアトリクス・ポターだったか――などと想像をたくましくするのも楽しい。

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