2010年8月27日金曜日

微生物の話


先週の土曜日(8月21日)、いわき市文化センターでいわき地域学會の第264回市民講座が開かれた。講師は馬目太一会員。製薬会社で土壌に含まれている微生物の研究をしてきた。退職後はいわき明星大薬学部で微生物学などを教えている。「微生物とヒトとの関係」と題して話した=写真

話の骨子は「ヒトは有史以来、実態も分からなかった微生物を上手に利用し、生活を豊かにする努力をしてきた。その一方でペストや結核といった感染症にも悩まされ続けてきた。良くも悪くもヒトに密接な関係にあるこれら微生物を取り上げ、さらに土壌から分離される細菌の仲間、放線菌について電子顕微鏡の写真を交えて紹介する」というものだった。

資料がかなりの量になるというので、パソコンから白板にデータを映し出す方法で話を進めた。したがって、紙のレジュメはない。受講できないのでレジュメが欲しいという人がいる。今回はあきらめてもらうしかなかった。

微生物は、目には見えない。が、たとえば「人間の皮膚常在菌は10兆個」「口の中には1㏄あたり1億個の細菌がいる、キスは細菌のやりとりをしているようなもの」といった、けた違いの数字にはうなるしかなかった。

食文化についても言及した。「発酵も腐敗も同じ現象。ヒトに有用な作用が発酵、不都合な作用が腐敗。人間の都合によって発酵だ、腐敗だと言っているだけ」。メモが追いつかないほど面白かった。

話を聞きながら、ずっと金子みすゞのこんな詩のフレーズを反芻していた。「見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ」。わが体内にある極小の宇宙を旅している感覚になった。

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