2010年8月3日火曜日
チダケ採取
栃木県宇都宮市の老人(79)が7月31日朝、キノコ採りに福島県塙町の山林に入った。夕方になっても帰って来ない。連絡を受けた警察や消防が捜索したら、翌8月1日朝、老人は遺体で発見された、という。今年もまた、という思いを禁じ得ない。
新聞には、単に「キノコ採り」としか書かれていない。が、真夏―栃木―キノコ採り、ときたら、決まっている。チチタケ(方言「チダケ」)だ。
福島県の中通りだけではない。浜通り南部・いわき市にも栃木ナンバーの車が入り込む。むろん、チチタケ狙い。年々、栃木県人が北上しつつある、そんな印象を受ける。栃木ではチチタケが激減しつつあるのではないか。だから、周辺県に越境するようになったのではないか。
おととい(8月1日)、夏井川渓谷でチチタケ3個を採取した=写真。夫婦で食べる「チダケうどん」のスープをつくるには、これで十分だ。
およそ一週間前、阿武隈高地の実家で「チダケのけんちん汁」を食べた。9年前、「味の手帖」という雑誌に、このけんちん汁について書いたことを思い出した。「チダケのけんちん汁」と「チダケうどん」は区別する必要があるのだろうか。私には分からない。栃木の「チダケうどん」を食べたことがないからだ。
が、植物油でいためるのが基本である以上、うどんが入るか入らないかの違いでしかないのかもしれない。うどんが入れれば「チダケうどん」、入らなければ「チダケのけんちん汁」。
きのう(8月2日)、夕飯のおかずにカミサンがナスその他の具を入れたいためものをつくった。同じような材料で「チダケのけんちん汁」をつくっても意味がない。とりあえずチダケとナスを刻んで植物油でいため、醤油で濃く味をつけて冷凍することにした。
ほっとけばすぐキノコはだめになる。チチタケはとりわけボロボロになる。いためて冷凍・保存しておけば、後日、調理し直すことができる。あの、えもいえぬ独特のうまみ成分が汁に溶け込んでいて、栃木県民ならずとも忘れがたいのだ。
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