被災者のための交流スペース「ぶらっと」(イトーヨーカドー平店2階)で日曜日(5月20日)午前、「富岡町民の集い」が開かれた=写真。お茶でも飲みながら近況を報告し合いませんか――個人の発案による、小さなちいさな集まりだ。20人余の富岡町民が参加した。
朝一番で夏井川渓谷の江田(小川町)の知人宅へ車を走らせた。その上流、無量庵へ足を延ばす時間はない。トンボ返りで市役所本庁舎へ行った。区内会で使用する一斉清掃(6月3日)のためのごみ袋をもらったあと、「ぶらっと」へ。
「ぶらっと」では、10時半から「富岡町民の集い」が開かれる。間に合うかどうか。着いたらちょうどスタッフが開会のあいさつをし、参加した富岡町民が自己紹介を始めるところだった。テーブルにはお茶・ジュース、お菓子が用意されていた。
集いの主役は富岡町民。「ぶらっと」はお膳立てをしただけで、あとはそちらにおまかせだ。常連も、スタッフ・ボランティアも少し離れて富岡町民の集いを見守っている。同じ被災者、同じ避難者。どんな気持ちかよくわかる“当事者”だ。
富岡の人が来る。座っていた人がパッと目を輝かせ、握手する。久しぶりの再会だ(もしかしたら3・11以来か)。それが繰り返される。同じ町の人間といっても、全員が顔見知りというわけではない。知っている人同士が話を始める。笑みがこぼれる。見ているこちらも次第に口元がゆるむ。
富岡といわきは、距離的には車で1時間くらいだろう。が、原発がおかしくなると富岡町民は、南のいわきではなく西の中通りへ避難した。人によっては、そこから転々として、自分の町に近いいわきで仮暮らしをするようになった。でも、家族も、コミュニティもばらばら。話し相手がいない。借り上げ住宅に住む人は孤独感を募らせいる。
それを少しでもほぐそうと、「町民の集い」が企画された。集いをきっかけにつながりが復活し、広がればいい。ケータイの番号を知らせ合う姿が見られた。名残を惜しむ姿が見られた。「また(「ぶらっと」に)寄らせてもらいます」。スタッフ・ボランティアには最高のねぎらいの言葉だ。
「ぶらっと」ボランティアに、いわきにアパートを借りて移り住んだ富岡町のYさんがいる。その人がスタッフとともに尽力したのだろう。終わって「よかったね」と声をかけると、「みなさんのおかげです」。拍手を贈りたくなるような集まりだった。
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