2026年2月24日火曜日

阿武隈の郷土料理

                                                 
   私が子どものころに食べた郷土料理で、今も懐かしく思い出すものが三つある。「いのはなごはん」と「まめだんごごはん」、そして「みそかんぷら」だ。

 阿武隈高地を含む浜・中通りでは、原発事故後、野生のキノコの摂取と出荷ができなくなった。

イノハナ(猪の鼻)は和名がコウタケ。阿武隈の山里ではマツタケより珍重される。震災後、知人からよその地区で採れたコウタケをちょうだいした。

それを裂いて干したのがある。先日、カミサンが一部を水で戻して「いのはなごはん」にした=写真。久しぶりに強い香りを楽しんだ。

マメダンゴ(ツチグリ幼菌)は夏井川渓谷の隠居の庭で採れる。庭は震災後、全面除染されて表土が新しくなった。

ツチグリの菌糸が残っていたのだろう。秋には子実体が地上に現れる。それを見て梅雨期に土中から掘り取り、「まめだんごごはん」とみそ汁の具にした。ここ2年はしかし、子実体が現れなくなった。マメダンゴも採れない

私は「みそかんぷら」を含むこの三つを勝手に「阿武隈の三大珍味」と称している。そのワケは、よそにはあまり知られていないからでもある。

マメダンゴについてはこんなことがあった。もう10年近く前だ。日本きのこセンターが発行している月刊誌「菌蕈(きんじん)」に、同センター菌蕈研究所特別研究員・長澤栄史さんが、毎回、表紙のキノコの写真を解説した。

2016年7月号でツチグリを紹介する際、古巣のいわき民報に書いた拙文を取り上げた。

「『梅雨期が旬、阿武隈高地では味噌汁が定番、焚き込みご飯も良い。内部が白あんが良く、黒あん、白黒あんは駄目』とある。白あん、黒あんとはうまい表現である」

「白あん・黒あん」は胞子の有無を表現したもので、少しでも黒ずんでいれば食べない。

2月8日に開かれたいわき昔野菜フェスティバルで、山形大学の江頭宏昌教授が講演した。「みそかんぷら」を紹介した。江頭教授からSNSを通じて報告があった。

拙ブログでは、「みそかんぷら」と山梨県の「せいだのたまじ」、飛騨の「ころ芋の煮ころがし」が似ていることを書いた。いずれも代官中井清太夫が赴任してジャガイモの栽培を奨励した地だ。

2年前にやはりSNSを通じて、江頭教授とジャガイモ料理の情報交換をした。「みそかんぷら」の話が主だった。

8日は衆院選の投開票が行われ、最寄りの投票所で立会人を務めたため、フェスティバルには参加できなかった。

それで江頭教授が当日の講演内容を教えてくれたのだった。うれしいことに拙ブログが大いに参考になった、とあった。

教授が光を当ててくれたことに感謝しつつ、「阿武隈の三大珍味」はこれからどうなるのか、原発事故で汚染された森はいつ回復するのか――それをまた思った。

0 件のコメント: