2008年5月8日木曜日

川辺に侵入するニワウルシ


川辺にある木はヤナギ類――は先入見にすぎなかった。確かにヤナギ類が多い。早々と芽吹くから印象も強い。が、仔細に見ると結構いろんな木がある。

ハリエンジュ(ニセアカシア)の幼木がある。オニグルミの若木がある。人の手で植えられたソメイヨシノの幼木がある。花が咲いたので分かったヤマザクラの若木もある。幼木・若木は、成木とは幹の肌合い、色合いがまるで違う。葉痕を手がかりにして識別するが、専門家ではないから大半は分からない。

国道6号バイパス終点の夏井川橋近く、右岸のニワウルシ(葉痕はハート型で上部中央に冬芽がある)の高木にカラスが営巣し、卵を温めている話を2週間近く前に書いた。

ニワウルシは中国南部が原産。英語名は「ツリー・オブ・ヘブン」(神樹)で、その名にあやかって、いわき市常磐湯本町の温泉神社境内入り口には高さ14メートル弱、幹回り1.6メートルのニワウルシがある。いわき市の保存樹木に指定されている大木だ。先日見てきたが、樹齢を重ねているせいか、樹肌はなかなか渋いものだった。

このニワウルシが各地で野生化しているという。特に、河原に侵入すると短期間のうちに大きな樹林に生長して、洪水時に水の流れを阻害する。カラスが営巣したところがその樹林になっている=写真。

どのくらいニワウルシが侵入しているのか。夏井川橋から河口までの間の河原を左岸の堤防上からチェックしてみた。双眼鏡で枝ぶり・芽吹きの様子を見たら、ニワウルシの幼木と思われるものがかなり散在している。が、枯れヨシ原に分け入って枝を見ると、葉痕はヒツジ顔のオニグルミ。ニワウルシではなかった。

素人目には幹の白っぽさ、枝の張り具合、葉の開き方がニワウルシに似るが、生長したオニグルミは葉を開くと、雄花序を長く垂らす。今がその時期だ。一方のニワウルシは枝先にある葉のかたまりが赤から緑になってきた。ちょうどチアガールが手にするボンボンのような形である。

河口からバイパスの夏井川橋までの河川敷では、ニワウルシの群落は1カ所にとどまる。次は橋から上流だ。少しずつ川辺の樹木を見て行けば、なにか今までとは違った川の嘆きが聞こえるかもしれない。

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