2008年5月18日日曜日

田植え最終章


小川江筋と愛谷江筋はいわき市北部の水田を潤すツインの大動脈だ。小川江筋は平野部の夏井川左岸を、愛谷江筋は同じく夏井川右岸をカバーする。

水田に水が張られ、代掻きが行われて、大型連休に始まった田植えも、ようやく最終章を迎えつつある。夏井川流域全体が青々とした稲田に変わったことだろう。

水源の大滝根山(標高1,193メートル=わが生まれ故郷の山)から始まる夏井川の、この時期の流れを想像してみる。

石灰岩地帯からしみ出した水は小さな渓谷を刻み、里の川となって、滝根町(田村市)や小野町(田村郡)の水田を潤す。

いわき市に入ると今度は大きな渓谷が迎える。夏井川は深いV字谷を刻みながら、山里の小集落の水田に次々と水を供給する。小川町の扇状地に出ると、あとは海岸部まで広がる水田地帯だ。小川江筋と愛谷江筋の取水堰が待っている。

水源から河口までの距離はわずか67キロメートル。私は、河口まで5、6キロメートルという辺りの夏井川を毎日、見て暮らしている。流域の水田に水を供給してやせ細り、川底をさらした夏井川=写真=は、この時期ほんとうに痛々しい。

逆にそれが珍しいのか、飼い犬を放してジャブジャブ水遊びをさせる人間がいる。浅瀬で石投げをする中学生がいる。ゴルフの練習をする人間がいる。

4羽の残留コハクチョウはたまらない。犬も人間も安易に近づくから、この時期は居場所が定まらない。2キロ近く上流へ移動したかと思えば、次の日はずっと下流の浅瀬にいる。

夏井川も、コハクチョウも田植えが終わるまで、今しばらくは辛抱の日々が続く。

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