2008年5月25日日曜日

カッコウが鳴いた


いつものように5月24日朝6時、夏井川の堤防へ出ると、いきなり耳に届いた。「カッコー、カッコー」。十数年ぶりに聞くカッコウの鳴き声だ。空は曇り、海の方は霧も出ているようだが、心は急に晴れやかになった。

国道6号バイパスの終点・夏井川橋とその下流・六十枚橋の間の右岸、平荒田目(あっため)方面=写真=から朗々とした声が聞こえる。屋敷林か電信柱のてっぺんで鳴いているに違いない。双眼鏡で探すが、姿は発見できなかった。

前に聞いてはっきり覚えているのは、平成元(1989)年5月だ。霧に視界を遮られながら熊野大権現が鎮座する御斎所山(いわき市田人町)の頂上へと参道を歩いていると、ふもとの方からかすかにカッコウの鳴き声が聞こえてきた。郭公の初鳴き遠し霧四方――なんてへぼ句が口をついて出た。

そのあとも1、2年はカッコウの鳴き声を聞いた気がするが、定かではない。で、小名浜測候所の生物季節観測データをチェックしたら、観測項目には入っているが平年値も、統計年数も空欄のまま。職員もやはりかなりの年数、鳴き声を聞いていないのだ。

ちなみに福島はカッコウ初鳴日の平年値が5月17日、統計年数が27年で、今年は昨年より9日早い5月14日だった。

5月13日にこの欄でカッコウの鳴き声を聞かなくなって久しいと書いた。カッコウのメスが托卵する鳥の一種、川岸のオオヨシキリは、今や結構な数になった。それをようやくオスが察知したらしい。ただし、「沈黙の夏」にならずに済むかどうかは、オスが夏井川を気にいるかどうかにかかっている。ひと夏、朗らかな「カッコー、カッコー」が聞かれることを祈るばかりだ。

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