2008年5月21日水曜日

「水戸黄門」は見ない


若い漫才コンビやアイドルが出てくるバラエティー番組は、もういい――そんな年代になった。かといって、テレビを見ないですませるほど枯れてはいない。テレビ番組は、基本的には週単位の繰り返しだ。「何曜日の何時からは何番組」と決まっている。見る番組が最近は絞られてきた。

いわゆる夜8時のゴールデンタイムは、晩酌をしながらの視聴ということになる。が、これがなかなか難しい。地デジの何、BSの何と、リモコンをカチャカチャやってもおさまらないときがある。

ゴールデンタイムの中で超長寿番組とくれば、真っ先に思い浮かぶのは「水戸黄門」だ。火曜日にひっかけた(そんなことはない?)NHKの「歌謡コンサート」も長い。「歌のグランドショー」「歌のゴールデンステージ」「歌謡ホール」の時代を足すと、歌謡番組としての歴史は半世紀近くになる。

ちょっと前までは、歌謡番組は見向きもしなったものだが、このごろは見る時間が増えた。BS2の「蔵出し」もちょくちょく見る。三波春夫と村田英雄、三橋美智也と春日八郎=写真=は、子供のころの思い出が重なって懐かしかった。きのう(5月20日)は大泉逸郎の歌をしみじみと聴いた。

「水戸黄門」への反応は、それらとは少し違う。なにしろ親が見ていて若いときからなじんでいる。テーマソングに体が反応する。近所の悠々自適組はついに「水戸黄門」を見るようになったという。生まれ故郷の同級生も1人、春先の還暦同級会で「水戸黄門」を見ていると打ち明けた。

年を取ると食べ物の好みが変わるのは、小さいころ、おひたしなどの老人食を食べていたからだという。昭和30年代ころまでは3世代同居が当たり前だった。お年寄りにはお年寄り用の料理が出た。子供はそれも食べて育った。年を重ねると老人食に変わっていくのは、体がその記憶を呼び覚ますかららしい。

「水戸黄門」にも老人食と同じ原理がはたらくのか。白か黒かの単純な勧善懲悪の世界。白と黒の間には薄い灰色、濃い灰色、その他さまざまな灰色がある。世の中、単純ではないよ――そう思いなしてきたのに、だんだんシンプルな世界に入っていく。あらためて「水戸黄門」は見ないとブレーキをかけるのだが、先のことは分からない。

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