2008年5月23日金曜日

キジの縄張り


夏井川の河口に近い平野部は、風景としては空が主役だ。朝夕の散歩の楽しみは空の雲の七変化。堤防の上に立つと、それがよりはっきりする。

その空の下、開けた河川敷でキジのオスがよく鳴いている。わが散歩コースの平中神谷地区(左岸)は堤防のそばまで家が張り付いているが、右岸の平山崎地区は昔ながらの田園地帯だ。河川敷には竹林と畑が連なり、県道をはさんで水田が広がる環境が、キジには都合がいいのだろう=写真。

1羽が鳴くと、必ず少し離れたところで別の1羽が鳴く。それが下流の方まで延々と続く。肉眼では黒い粒でしかないキジも、双眼鏡で見ると、赤い肉だれと気品のある緑黒色の体がよく分かる。対岸ばかりでなく、こちら側に来ているときもあるから、川の両岸が同じオスの縄張りとみてよい。

ある朝6時ごろ、いつものように堤防の上を歩いていると、右岸の3カ所からキジの鳴き声が聞こえた。音源を探ると1羽は畑の真ん中に、ほかの2羽はそれぞれ離れて河川敷の砂地に近い草むらにいる。肉眼でもはっきり見える。

3羽の距離を歩いて測った。AキジとBキジの間は240歩(一歩90センチとして216メートル)、BキジとCキジの間は100歩(同じく90メートル)である。真ん中のBキジの縄張りは、中間で線引きをすると108メートル+45メート=153メートルになる。

少し余裕をもたせて200メートルごとに縄張りがあるとすると、現にその程度の間隔で「ケーン、ケーン」と鳴いているのだが、オスのキジは1キロメートルに5羽、河口まで4キロメートルとして25羽がそれぞれ縄張りを持っていることになる。もう少し狭めて150メートルごとにオスがいるとすると、33羽だ。これはいくらなんでも多いか。

キジが河川敷の自然度を測る物差しになるかどうかは分からない。が、いないよりいるにこしたことはない。河川敷に限って推計すると、夏井川流域全体ではオスのキジ数は335羽になる。上流の滝根町(田村市)と小野町(田村郡)では、夏井川はほとんど河川敷がないからキジはいまいが、なんだか楽しくなる空想ではある。

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