2008年10月11日土曜日

キノコとノーベル賞


今年のノーベル物理学賞に決まった日本人3人のうちの1人、京都産業大学教授益川敏英さん(68)はなかなか茶目っけのある人のようだ。

テレビのワイドショーで奥さんが言っていた。「『キノコは人類の食べるものではない』などと、たいそうなことを言う」と。これには笑った。単にキノコ嫌いなのだろうが、さすがは「理論屋」である。

「よし、『非人類』になってキノコを採って来よう」と里山へ向かった。昔は1年に50回以上入った平市街の「ウラヤマ」だ。遊歩道が縦横に張り巡らされている。その道からそれて林床に足を踏み入れると、灌木とクモの巣が待っていた。

幸先よくウラベニホテイシメジが目に入った=写真。もう十数年、採ったことがない名菌だ。なんでこんなにすぐ採れるのか。自分でも首をかしげたが、理由がないわけではない。十数年前に採った場所である。記憶がそこへ足を運ばせたのだ。

採りごろの3本を採取したものの、あとは空振り。3本目はしかし、わが家で見たら、傘の模様がウラベニホテイシメジではなかった。かすり模様もクレーターもない。毒キノコのクサウラベニタケである。両者はそれほどよく似ている。欲が冷静さを失わせたようだ。

夜、シメジご飯にした。ここ10年ほどは買ったり、もらったりしてシメジご飯にしていたが、自分で調達したのだから、うまさは倍になる。ところが、カミサンはうんざりした表情で言った。「キノコはもう食傷気味」。ノーベル賞の益川教授と同じ人類になったようである。

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