2008年10月28日火曜日

夏井川渓谷のダイモンジソウ


夏井川渓谷の岩場に群生するダイモンジソウの花が満開になった=写真。先日、秋のいわきをきれいにする市民総ぐるみ運動の一環として、住民が渓谷沿いの道路でごみ拾いをした。半住民の私も加わった。そのとき、一緒に歩いたKさんが対岸の岩場を指さしながら「咲いてる、咲いてる」と教えてくれたのだった。

「大」の字に見える花は白く小さい。それが群生しているから、岩場が霜をかぶったように見える。指摘されなければ、それとは分からない。

渓谷随一の名勝「籠場の滝」の上流、湿った岩場のくぼみに、あるかないかの苔が張りついている。そんなところから根出葉を広げ、長い柄の先に「大」の字の花をつける。アカヤシオもそうだが、ダイモンジソウ、イワタバコなど、渓谷の植物は生息地に厳しい環境を選んだ。土壌の少ないところで生きている。それだけで大したものだと思う。

そんな植物は、盗掘して庭に植えてもすぐ枯れる。いや、その前に岩場から足を滑らせて渓流に転落ということになりかねない。対岸から双眼鏡で大群落を眺める、という手が一番だ。

清潔感の漂う白花。渓谷の集落の住民はダイモンジソウをひそかに愛している。「咲いてる、咲いてる」と、なにか小鳥のひなを見るようにいうのが、その表れだ。

0 件のコメント: