2008年10月7日火曜日

「ワラぼっち」と「ハセがけ」


稲刈りの季節に入った。山里を巡っていて面白いのは、稲穂の干し方が違うことである。

夏井川渓谷(いわき市小川町上小川字江田~牛小川)は杭がけの「ワラぼっち」型=写真。ところが同じ渓谷の上流、川前町では「ハセがけ」型だ。一つ山を越えた三和町も「ハセがけ」型である。夏井川下流の平あたりでは両方が混在するという。

「ワラぼっち」は1本の支柱に丸く360度、束ねた稲穂を寝かせて干す。大人の背丈ほどの円柱になる。「足」がある。NHK「ダーウインが来た!」の「ひげジイ」みたい、とカミサンはいう。「ハセがけ」は何カ所か、杭をばってんにして長い丸太を架け、それに束ねた稲穂を垂らす。

寝かせて干すか垂らして干すかの違いだが、なぜ地域によって、あるいは農家によってやり方が違ってきたのか。調達できる丸太の有無の差か、日光と雨風を考慮したうえでの乾燥の遅速、効率性の認識の違いか。いつも秋になると疑問に思う光景だ。

混在地区がある以上は、「ワラぼっち」文化圏、「ハセがけ」文化圏といったくくりができるほど、単純ではなさそうだ。

むしろ混在する地区でなぜそれを選んだのか、「昔からそうしてきたので」という答えの先までいって、違いを明らかにできたら面白い。こういうのは小学校の総合的な学習の時間向きではないか。

もっとも、今は機械が刈り取りから脱穀・乾燥までやってしまって、田んぼには裁断された稲ワラしか残らない、というところもある。「ワラぼっち」も、「ハセがけ」も過去の風物詩になってしまうのだろうか。

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