2009年11月18日水曜日

アトがないならアートだ


頭の中で整理するのに少し時間がかかる美術展が、いわき市で始まった。市立美術館では「わたしが選ぶ いわき市立美術館 ザ・コレクション展」(12月13日まで)、共催事業としていわき明星大学ほか、市考古資料館など市立の6施設を会場にした「いわきぐるっとコレクション展」(11月30日、12月5日、13日、1月24日までとさまざま)だ。

市立美術館が収蔵する作品を対象にした、市民が好きなこの作家、この作品――の人気投票に基づく企画展が「ザ・コレクション展」。これまで美術館のロビーを会場にして“個展”(ニュー・アート・シーン)を開いた、いわき在住作者による自分の作品と、影響を受けた美術館収蔵作品を展示するのが「ぐるコレ」。この2本立てである。

市立美術館開館25周年記念と銘打っている。にしては、「自前」と「地元色」が強い。カネがないのでこんな企画になった――これは、はっきり言えるのではないか。学芸員が知恵を絞って、汗をかいて、そして、いわき在住の作者にも協力をお願いして。美術館友の会もパンフレット発行を引き受けた?

あえて美術館の向こうにいる市教委、さらにその先に陣取る市長部局の面々に向かって言いたくなる。逆も真なりで、カネがないときほど文化ではないか、と。チェンジだ。国だけでなく自治体にも新しいまちづくりの発想が求められる世の中になったのではないだろうか。

11月14日の夕方、「ザ・コレクション展」のオープニングパーティーが美術館ロビーで開かれた。みずから絵を描くアクアマリンふくしま館長安部義孝さんが、来賓あいさつのなかで行政の文化関連予算が削減されている状況を指摘しながら、「アトがなくなったら、アートがある」、つまり気概を持ってアートに取り組もうと激励した。

そういえば、11月8日に草野心平記念文学館を訪れた際、ロビーに彫刻作品が飾られてあった=写真。それが「ぐるコレ」の一つだったのだ。

ところで、「パリコレ」ならぬ「ぐるコレ」とはよく言ったものだ。「デパ地下」「「ケータイ」「サラ金」などと同じ、日本人が好む4文字(音)略語だ。日本語は「ぐる・コレ」「デパ・地下」と2文字(音)が基本のリズム、2文字(音)が2回続くとおさまりがよくなるようにできているらしい。

たとえば俳句は五七五といわれるが、音楽的には休符を入れて四四四なのだという説もある。これは余談。

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