2009年11月19日木曜日
要塞のオオバン
夏井川の河川敷を散歩していると、対岸に見慣れぬ水鳥がいた。全身黒ずくめ、くちばしから額(額板)が白い。双眼鏡をのぞくとオオバンと分かった。冬になると現れる。
オオバンはヨーロッパとアフリカ北部、アジア、オセアニアに広く分布し、中央アジアなどで繁殖したものは、冬、暖地へ移動する。日本では、北日本では夏鳥だが東北地方南部からは留鳥――と図鑑にある。
つまり、いわき辺りでは冬鳥ではない。夏場、目にしたことはないから、「夏山冬里」のウグイスなどと同じく、「夏北冬南」の漂鳥なのだろう。9月下旬に北欧を旅したとき、デンマークの首都コペンハーゲンはアマリエンボー宮殿近く、星形をしたカステレット要塞の濠でこのオオバンを見た。
コペンハーゲンの観光定番コースだ。カステレット要塞の先っちょにあるアンデルセンの「人魚姫」像を見たあと、途中から歩いて宮殿へ向かった。その途中に4頭の雄牛をひく女神の像の「ゲフィンの泉」がある。噴水だが、水は止まっていた。わきにある石段の上に立つと、眼下の濠にオオバンが泳いでいた=写真。「弁足」といわれる足がよく見えた。
運河の船に留まって昼寝をしていたマガモもそうだが、向こうの野鳥はそんなに人間を恐れない。日本では、至近距離でマガモの写真を撮るなど至難の業だ。「かもねぎ」になってしまった歴史があるからだろう。オオバンも人間を警戒して近寄らないから、300ミリくらいの望遠レンズでは米粒くらいにしか写らない。
デンマークではオオバンはもちろん、マガモも留鳥らしいことは図鑑で分かった。たかが野鳥だが、実見することで北欧の野鳥と人間の関係、ひいては自然を学ぶ手がかりが得られた思いがした。
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