2009年11月17日火曜日

小野町産「三春ネギ」


またまたネギの話で恐縮だが、やっと謎が解けた――そんな心境なので、悪しからず。

夏井川渓谷が紅葉時期に入ると、磐越東線・江田駅の下、県道小野・四倉線沿いにテント張りの食べ物屋が出る。農産物や山菜・キノコの塩漬けを並べた地元のおばちゃんたちの露地売りも始まる。

ちょっと離れたところでは、夏井川の上流・小野町から、Nさんがやって来てナガイモとネギを売っている。今年も日曜日のたびに通ると、Nさんの姿があった。わが無量庵にやって来たことのある女性Hさんの知り合いで、それが縁で1年にいっぺんはナガイモを買うことにしている。

夏井川渓谷で紅葉ウオーキングフェスタが行われた11月15日、案内人としてそのウオーキングに参加した帰路、Nさんの直売所をちらりと見ると、曲がりネギが目に入った=写真。すると、〈もしや〉とひらめくものがあった。急きょ、駐車場に車を止めてNさんの直売所に向かう。午後4時前、店じまいする寸前の時間帯だ。

夫婦で顔を出し、少ししゃべったところでHさんの名前を出すと、思い出してくれた。そこからの会話。

「この曲がりネギは『三春ネギ』?」
「そうです、小野町でつくってますけどね」
「『阿久津曲がりネギ』と『三春ネギ』は同じだと思うんだけど」
「そうです、阿久津からネギ苗を買って来るんですよ」

〈やったー!〉。内心、快哉を叫ぶ。阿久津曲がりネギと三春ネギが、初めて一本の線でつながった。阿久津曲がりネギと三春ネギは同じだった――それを雄弁に物語る証言=状況証拠ではないか。

阿武隈高地に生まれ育ち、ネギが嫌いな幼児(当たり前だ)からジャガイモとネギのみそ汁が好きな少年に育った。15歳で家を離れたあとは、途中、東京で暮らした時期もあったが、ずっといわきで暮らし、還暦を迎えた。

40代後半のころから、夏井川渓谷の小集落・牛小川で週末を過ごすようになった。阪神・淡路大震災、そして地下鉄サリン事件のあった14年前、平成7年の初夏だ。集落のTさんの家に招かれ、酒を飲み過ぎて泊まった。朝、じゃがいもとネギのみそ汁を飲んだら少年時代の味の記憶がよみがえった。聞けば「三春ネギ」だという。それから、三春ネギのルーツ調べが始まった。

14年かかって、ようやく仮説に間違いがなかった、と言ってもいいような気分になってきた。〈三春ネギ、万歳!〉である。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

謎が1つ解決して、おめでとうございます。
よかった!よかった!