2009年11月9日月曜日

人魚姫は上海万博へ


中国の上海万博開催まで半年を切った。上海の現状を伝える新聞記事を読んで、「人魚姫」の像=写真=のことを思い出した。デンマーク館の目玉としてこの像が展示される。開催期間は2010年5月1日から10月31日までの半年間だ。4月に旅立ち、11月に帰還するそうだから、「人魚姫」は2010年、8カ月間ほどデンマークを留守にすることになる。

今年3月、コペンハーゲン市議会が中国移送を可決して、賛否両論にけりをつけた。宮沢賢治の童話が岩手観光の吸引力になっているように、アンデルセンの童話がデンマーク観光のドル箱になっている。1913年に設置されて以来、同じ場所で世界中からやって来る観光客を迎え続けてきた。

これまでに2回、首を切り落とされた。腕も切り落とされたことがある。そのつど修復された。それだけ人の注目を集める銅像であることには違いない。

その意味で、単なる旅行者が「人魚姫」について書き加えることはない。が、日本語のガイドブックと現地のガイド(日本人)の言うことが異なっている。そこはちゃんと伝えておきたい。日本の俳優に絡むことでもあるので。

『地球の歩き方』という本には、人魚姫像の「モデルになったのは王立劇場のプリマドンナで、それが縁で後に彫刻家の夫人になった」とある。現地の日本人ガイドは、そんなことは言わなかった。確かにプリマドンナをモデルにはした。ただし、顔だけだという。

現在と違って、ヌードがはばかられる時代。裸になるのを拒否された。彫刻家はしかたなく、自分の奥さんをモデルにして首から下を造形した。その奥さんというのが、俳優の故岡田真澄の叔母さんだった。そういう話を聞くと、デンマークのシンボルといえどもぐっと身近なものに感じられる。

で、「人魚姫」の像が留守の間はどうするのか。中国の現代美術家艾未未(アイ・ウェィウェイ)の作品を展示するのだという。とりあえず、「人魚姫」のモデルについて聞いたことと、読んだことの違いについて書いてみた。

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