2009年11月13日金曜日
「サケ売ります」
朝晩歩く道筋、つまり散歩コース。そのコースのなかにテントが立った。「夏井川の鮭」ののぼり。ヤナ場のそばだ。テントの柱にこんな文言の紙が張ってあった。「サケ売ります メス一尾1500円」=写真。
なんでこんな上流(といっても河口からちょっとさかのぼったところ、平野部で街の近く)でサケを売るのか――というのが最初の反応だった。
去年までは、夏井川の河口近くにのぼりが立っていた。そこからざっと4キロは奥だ。沖捕りのサケではない。えさもとらず、必死になって子孫を残すために川をさかのぼってくるサケは立派だが、食材としてはどうだろう。結局、イクラ(卵)か。
そんなことを考えているうちに、孫の親がサケを1匹持ってきた。北海道産だという。体長は1メートル弱。3日に一度はサケの切り身を食べる。たまたま遊びに来ていたカミサンの妹とカミサンの二人がさばいて、頭から尾っぽまであったサケは切り身になった。
北欧を旅して以来、スーパーに行くと切り身のサケの産地が気になるようになった。チリやノルウェー産がある。ノルウェー産はフィヨルドで養殖されたものだ。フィヨルドは、氷河が大地を削り、そのあとに海水が入ってできた地形のこと。
切り立つ崖、深い海、冷水温。湖のように静かな入り江に、ハイテク化された養殖システムが稼働し、サケが育っていく。最大のお得意さんは言うまでもなく日本だ。
サケはサケだが、サケではない。魚である以上に商品だ。鮭組合の人には悪いが、大水が出てヤナ場が水没すると、これ幸いとばかりにサケが上流へさかのぼる。そこがいい。川を見向きもしなかったような人でさえ川を見る。サケを通して人は川を振り返る。サケは生きた川のシンボルだ。
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