2011年12月8日木曜日

北欧クロスステッチ


先月下旬、いわき駅前再開発ビル「ラトブ」2階にある被災者のための交流スペース「ぶらっと」で<聖夜の北欧クロスステッチ>教室が開かれた。男なのでよくはわからないが、緑色の糸をクロスさせながら針を進め、手のひらに入るようなモミの木をつくるデンマーク刺繍の一種で、小さな額縁に入れて飾る。

講師は須賀川市の女性だった。アンデルセンの住んだニューハウンを図案化した紙ナプキンがあった。デンマークを訪れたときの話をしたら、「私はまだ行ってないんですけどね」。ぐっと話の距離が縮まった。にしてもなぜ、須賀川から?

話は4月に開所した勿来地区災害ボランティアセンター(5月下旬に閉所)までさかのぼる。そこでボランティアをしていた女性と私のカミサンが顔見知りになった。刺繍教室が終わったところへ、私ら夫婦が顔を出した。勿来ボラセンで知り合った女性もやって来た。講師は勿来の女性の知り合いで、女性の口利きでクロスステッチ教室が実現した。

須賀川には姪の嫁いだ家がある。中華料理の「トン珍」という。その話をすると、「同じ町内会です。よく知ってます。うちはだんご屋です」。人の縁というのは不思議なものだ。災害ボランティア同士がつながり、それがまた別のつながりを生む。「ぶらっと」を介して、私の中ではいわきと須賀川が強く結ばれた。

原発事故が恐怖のピークを迎えた3月15日午後、とにかく白河市の方へ避難しようと決めて、国道49号から須賀川=写真=へ入り、国道4号を南下した。須賀川市街に入ると、震災の跡が生々しかった。「トン珍」が右手に見えた。見た目には被害はさほどでもないようだった。

そのことを思い出したので、講師の女性に聞いたら「うちは大規模半壊でした」。なんということだ。地震に関しては、浜通りより中通りの被害がひどかったのではないか。

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