JAその他、野菜の直売所へはよく行く。味噌漬けや梅漬けなどの加工品を含めて、だれが何を出荷しているかとなると、まったくわからない。わからなくてもいい。食べてうまければそれでよし、である。
それでも、この味噌漬け、そして梅漬けは、野菜はどこのだれがつくったのか、気になるときがある。
特に味噌漬けの場合は、昔からの強烈な味だったり、現代風のさっぱりした味だったりと、作り手によって違いがはっきりしている。
現代風の味噌漬けでも、具材の切り方に差がある。小さく刻んだもの、ざっくり切ったものと、生産者の個性が出る。
ごはんのおかずには、味噌漬けは具が小さくて細かい方がいい。それだけ塩分摂取が抑えられる。なくなりそうになるとまた買いに行く。
おもしろいことに、同じ容器に入っていても、行くたびに値段が上がっている。10円とか20円だが、買う側としては解せない。量も少なくなっている。
カミサンがレジの女性に尋ねると、「なんともねぇ、生産者が値段を決めるものだから」という。
それでわかった。味噌漬けの値段や量が変動するのは、出荷者(生産者)が違うからだろう。
生産者の持ち込みによる委託販売である。容器のラベルに表示されている生産者名も含めて「商品」ということになる。
そんな直売所での、日曜日昼下がりの出来事だった。夏井川渓谷の隠居からの帰り、平窪の「やさい館」で買い物をした。店に入るとき、棟続きの倉庫に野菜を持ち込む生産者がいた。
店内に入って野菜を買い物かごに入れていると、その生産者が商品棚にキャベツを並べ始めた。
寒いのでこちらは長そでにカーディガンだが、向こうは半そでの丸首シャツ1枚だ。見るともなく見ていると、どうもどこかで会ったような顔である。
向こうもキャベツを並べながら、同じような思いで記憶を探っていたらしい。少したって、どちらからともなく「ああ」となって、私が声を出した。「Hさんじゃないですか!」
Hさんは川前の農家で、紅葉シーズンになると夏井川渓谷の江田駅前で野菜を直売する。
今年(2025年)は渓谷随一の景勝地・牛小川で野菜を直売することを考えた。わが隠居は、庭だけは広い。玄関の前だけでもかなりのスペースがある。
直売所に借りられるかどうか、私たちが隠居にいるとき、訪ねてきた。むろんOKしたが、後日、別の住民からの勧めもあって、隣の「錦展望台」を利用することになったという。
そのHさんがやさい館にも野菜を出荷していた。さっそくキャベツを買う。前にキャベツと大根をいただいたことがある。それを思い出した。
駐車場でHさんにキャベツを買ったことを伝えると、おまけといって車からブロッコリーを1個取り出した。家に戻ってパチリとやったのがこれ=写真。
絶えず変化する自然だけでなく、こんな出会いもあるから、日曜日の渓谷通いはやめられない。