隣の行政区に住む知り合いから、「終わり初物」のネギをちょうだいした=写真。
師走に用があって訪ねたら、すぐ畑へ行ってネギを掘り取ってきた。それがいわきの平地で栽培された冬ネギの「初物」だった。
久しぶりに「終わり初物」という言葉を聞いた。
「初物」は文字通り、シーズン最初に収穫・採取、あるいは買って口にする野菜・果物・山菜・キノコなどのことだ。
「終わり初物」はその逆で、収穫・採取・消費はこれで終わり、というときに使う。
たとえば、ワラビ。渓谷では4月末に初物が手に入る。摘まれたワラビからはまた子ワラビが出る。これをまた摘む。そうして夏がくると、次の年のことを考えて「終わり初物」にする。
春に冬ネギが終わり、初物になるのはたぶん、ネギの種まき時期と関係する。春になるとネギはとうが立つ。新しいネギの種まきも待っている。
私は、夏井川渓谷の隠居で昔野菜の「三春ネギ」を栽培している。採種・播種・定植・収穫というサイクルを経験するなかで、同じ夏井川流域でも山間地と平地とではネギの種まき時期が違うことを知った。
三春ネギは、地元の人の話によると、昔の国民の祝日「体育の日」(10月10日)が種まき時期の目安になる。種まきまでは夏に採った種を冷蔵庫で保存しておく。
それに対して平地のネギは、年を越した4月10日に種をまく。千住系の「いわき一本太ネギ」を栽培している「師匠」に教えられた農事暦だ。
知り合いのネギも立派な太ネギだった。初物をちょうだいしたときのブログがある。それを抜粋する。
――さっそくネギジャガの味噌汁にして味わう。太ネギは硬いというイメージがあったが、思った以上に軟らかかった。
夏井川渓谷にある隠居の庭で三春ネギを栽培している。田村地方から入ってきた昔野菜で、ある家に泊まった朝、ネギジャガの味噌汁をすすって驚いた。昔の記憶がよみがえった。
私は田村郡の山里で生まれ育った。ネギジャガの味噌汁が好きだった。そのネギと同じ味がした。甘くて軟らかい。
ネギづくりの参考にしているのは、平地の夏井川沿いにあるネギ畑だ。わが家からマチへ行った帰りによく堤防を利用する。
いつもチェックする畑がある。今季は師走に入っても、収穫が始まる気配はなかった。中旬になってもそのままだった。
暮れの12月29日に通ると収穫が始まり、年が明けた1月5日には3分の2が消え、9日には3列しか残っていなかった――。
知り合いからネギをちょうだいしたのは、師走に入ってすぐだった。それでさっそく、カミサンにネギジャガの味噌汁をリクエストした。
それから4カ月。まずは焼いて、味噌をつけて食べた。ほくほくして甘かった。これがほんとの「いわき太ネギ」なのだろう。
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