カメラはいつもそばに置いてある。家にいるときはこたつのわきに、車を運転中は助手席に。
夏井川渓谷の隠居では、土いじりの合間にカメラを首から提げて庭を一巡りする。タテハチョウが日光浴をしていればパチリとやる=写真。フキノトウの群生も、アセビの花も……と、被写体には事欠かない。
そうやって撮影したデータをパソコンに取り込んだときのこと。パソコンからカメラのメモリーカードを引き抜くのを忘れて、そのままカメラを持って出かけた。
日曜日(4月6日)、早朝。渓谷に春を告げるアカヤシオ(岩ツツジ)の花が咲いているはず――。
思った通りだった。さっそくカメラを向けてシャッターを切る。と、何か変な文字があらわれた。「メモリーカードが入っていません」
しまった! カードをパソコンに差し込んだままだった。きょうは写真を撮れない。そう考えると花を楽しむどころではなくなった。急いで帰宅し、カメラにメモリーカードを戻して、やっと気持ちが落ち着いた。
撮影データをパソコンに取り込むようになって何年になるだろう。ちょっとした不注意には違いないが、老化も加わってそうなったか、なんて考えた日の翌日――。
カミサンが近所から帰って来て告げた。仲良くしている90歳のおばさんが、家でイスから転げ落ちてけがをしたという。
病院へ行ったら、骨に異常はない。しかし、背中のあたりに痛みがある。再検査をしたら圧迫骨折ということだった。
すぐ義弟のことを思い出した。義弟は去年(2024年)11月に亡くなったが、その1年前、わが家の南隣の自宅で転んで背中を強打し、圧迫骨折をした。入院して、特製のコルセットで胸部を固定しながらリハビリを続けた。
カミサンの友人や知人も、自宅で、外で転んでひざや肩を骨折し、入院した――そんな話が時折、入ってくる。
年をとれば、家庭内での事故が増える。なかでも多いのが、この転倒だ。それもちょっとした不注意で起きる。
座布団を踏み外す、こたつのカバーやわずかな段差に足をとられる、ぶつける。で、4年前には家庭内での転倒事故防止を「年頭の誓い」にした。
老化で弱くなった足腰が、コロナ禍の巣ごもりでさらに弱くなった。するとますます、家の中にあるモノたちが「障害物」になる。その自覚があったからだ。
40年ほど前に2階を増築したとき、階段に手すりを付けた。そのころは軽い気持ちで「付けておくか」という程度だったが、今はこれが役に立っている。
転倒事故も、メモリーカードの戻し忘れも、ちょっとした不注意から起きるという点では、根っこは同じ。あらためて老いを自覚し、戒めとしなければ。
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