自然の移り行きに合わせて、田んぼがすき返され、畔(あぜ)の「くろ塗り」が始まった。今はトラクターでくろ塗りをするらしい。
家から少し離れた田んぼ道を行くと、表面(天端)の半分とのり面が黒くつるつるしている畔があった=写真。ほかの田んぼでも、ところどころ畔がきれいになっている。
トラクターでのくろ塗りは、何年か前から見かけるようになった。最初は何をしているのかわからなかったが、あとで同じ道を通ると畔ののり面がきれいになっていた。
成形されたあとがきわだって美しい。で、どうやるのか、どんな機械を使うのか、ネットで探ってみた。
それによると、トラクターに、外形が漏斗(ろうと)に似たくろ塗り用の機械を取り付け、それを回転させながら、のり面と天端を同時に成形していく、というものらしい。
4月最初の日曜日(4月6日)、夏井川渓谷の隠居へ出かけた。1週間前の日曜日は用事があって渓谷へは行けなかった。まずはアカヤシオ(岩ツツジ)の開花を確認しなくては――。
いわきの平地でソメイヨシノが咲き出すと、渓谷のアカヤシオが開花する。30年ほど渓谷へ通い続けて学んだ経験則だ。
今年(2025年)もその通りになった。江田を過ぎ、椚平に入ると右岸の山がピンクで彩られていた。それがアカヤシオの花。
籠場の滝の周辺では、谷の方までアカヤシオの花が見られる。わが隠居と展望台のある牛小川は、前山が3分咲きというところだった。奥山を含めた見ごろは今度の日曜日(4月13日)だろう。
沿道のソメイヨシノは花が満開に近かった。が、雨にたたられたせいか、花びらの色がいまひとつさえない。
集落の背後の小丘陵はしかし、ヤマザクラの花で淡いピンクの点描画になっている。
三島(小川町)のハクチョウはとっくに北へ帰ったと思っていたら、3羽が砂地に上がって「朝寝」をしていた。
どこか南で冬を過ごしたハクチョウが北へ帰る途中に一休みをしている、といった雰囲気だ。
というわけで、沿道には春の花があふれ、くろ塗りのすんだ田んぼが増えてきた。趣味の菜園でも事情は変わらない。わが隠居の菜園では、今年はジャガイモを植える。
いや、時期的にはもう植え終わっていないといけないのだが、食べきれずに残って芽を出したジャガイモが家にある。捨てるのはもったいない。
菜園の一角に埋めれば、やがて小芋ができる。それを掘り起こして「味噌かんぷら」にする。
くろ塗りのすんだ田んぼの畔を見ながら、春の土いじりと、それがもたらす夏の食べ物が思い浮かんだ。
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