2026年4月16日木曜日

岸辺のヤナギ

                                
 冬場は里山も河川敷も枯れ草色に覆われている。そうしたなかで、年が明けるころにはハクチョウの飛来がピークを迎える。

 マチからの帰り、夏井川の堤防をゆっくり進みながら、ハクチョウその他の水鳥を観察する。寒いので、車からは出ない。

これを繰り返しているうちに、枯れ草色の河川敷にもうっすらと緑色が加わってくる。それが日を追って濃くなる。淡い緑色の点々が線になり、線がやがて面になる。4月に入ると、緑がはっきりわかるようになった=写真。ネコヤナギだろうか。

岸辺のヤナギといえば、石川啄木の短歌である。「やはらかに柳あをめる/北上(きたかみ)の岸辺目に見ゆ/泣けとごとくに」

ヤナギの緑が目の前にあるので、思い出して泣きたくなるような気持ちにはならない。が、やわらかに緑が色づいた様子は、北上川も、夏井川も変わらないはずである。

ただし、啄木のヤナギは大木がふさわしい。こちらは土砂を除去して裸地になった岸辺の幼木たちだ。

ふだんから夏井川の堤防を利用している。長い散歩にドクターストップがかかるまでは朝晩、堤防を散歩した。マチへ行けば、堤防経由で帰ってくる。

河川敷に重機が入って岸辺の立木を伐採し、土砂を除去するのを何回か見た。そのつどコラムやブログに書いてきた。それを参考にして振り返る。

昭和63(1988)年6月、夏井川が建設省(現・国交省)の「ふるさとの川」モデル河川に指定された。

河川を拡幅し、親水公園づくりを進めるのが主だったように記憶する。サイクリングロードもそのときできた。

私が40代に入る前後で、夏井川は会社の行き帰り、灯籠流しが行われる鎌田の平神橋からチラッと見るだけだった。その後、堤防の散歩を始めた。

いったんは川幅が広がり、大河のような風情を見せた川だったが、年を経るごとに中洲が大きくなる。河川敷には草と木が生える。自然の遷移に休みはない。

 モデル事業から20年余りたったころ(東日本大震災の前だった)、右岸・山崎地内で氾濫を防ぐための土砂除去工事が行われた。

鎌田の中洲も肥大し、草が生えてヤナギが生長したため、それを伐採して土砂が除去された。

20年に一度はこうした土砂除去工事が必要なのだろう。これが「エコな工事」なのだろうと、当時思ったものだ。

それからわずか9年後の2019年秋、「令和元年東日本台風」に襲われる。その被害復旧と国土強じん化のために、また河川敷の立木伐採と土砂除去が行われた。

川の自然は時々刻々、変化する。河川の防災工事はだから、恒久的というよりは応急的なものとみた方がいい。

いずれまた川には土砂が堆積し、裸地には草木が生い茂る。ヤナギはその先行植物だ。

ヤナギの緑が流れに近い湿地(裸地)を占領している。5年もたてばかつてない「大ヤナギ林」が出現するに違いない。

0 件のコメント: