2009年3月3日火曜日

春は自転車に乗って


前に書いたが、マンションを引き払う知人からもろもろの小物をいただいた。自転車もありますよ、という。朝晩、散歩を日課にしているので、その延長でペダルをこぐのもいいか――と、もらい受けた。買い物かごが前に付いている、いわゆる「ママチャリ」だ。

自転車に乗るのはいつ以来だろう。小学校に入るとすぐ三角乗りを覚えた。小学校高学年のときには、同級生とつるんで隣町まで汽車を見に行った。上京すると新聞配達に自転車を利用した。それ以来だから40年ぶりか。

歩いては、夏井川の河口へ行く気にならない。自転車の力を借りてなら行ける。堤防上の道路と河川敷のサイクリングロードを使って、新舞子海岸までペダルをこいだ=写真

耳が冷たい。寒気に突っ込んでいくのだから当然だ。代わりに、車では確かめにくい鳥の鳴き声が耳に入る。水鳥がいっぱい水面に浮かんでいる。鈴を振ったような声はコガモ。ウグイスのさえずりが3カ所から聞こえる。珍しや、キジの雌が水面すれすれに対岸へ飛んで行く。もう少し暖かくなれば、春は馬車ではなく自転車に乗って、となるか。

アスファルト舗装だから足元は申し分ない。軽くペダルをこぐだけでウオーカーを追い越せる。下り斜面は自転車におまかせ。こういうところは楽でいい。ところが、上り斜面になるとすぐ地面に足をつけてしまう。

時間の経過とともに膝のあたりの筋肉が痛くなってきた。逆風になると、思ったように前へ進まない。楽しさ半分、きつさ半分。無理にも坂の上までこぎ上がった若いころの筋力がない。感覚も昔とは違うようだ。

車の迷惑になってはいけない。河口へ二度、いわき駅前再開発ビル「ラトブ」へ一度、自転車を走らせて痛感した。同じ堤防上の道をよく車で行き来する。中高年、特に女性の自転車を追い抜くタイミングが難しい。自転車がフラフラしていないことを確かめてから、素早くすり抜ける。私の自転車もフラフラしていないだろうか、と気になる。

若い女性の自転車に追い抜かれる。ひよっこのような中学生にも追い抜かれる。高校生は逆風でもどんどん前へ進んで行く。朝晩、散歩をしているからと言って、足の筋力が付くわけではないのだ。「自転車力」を鍛えるには「ママチャリ」に乗り慣れる以外にない。また、そうしないとフラフラ走行は改善されない。

少年の体力は無理だが、少年の好奇心をエンジンにしてペダルをこごう。そうすれば少しは筋力が付くだろう、ジョギング並みに心肺機能が高まるだろう――。自転車を乗り始めてから期待感ばかりが膨らんでいく。

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