2009年3月8日日曜日

小名浜ベイブリッジ


小名浜港で「東港地区多目的国際ターミナル」整備事業が進められている。港内に人工島をつくり、外貿貨物(石炭など)需要の増大と船舶の大型化に対応して取り扱い能力を向上させる、というのが目的だ。総額305億円と6年をかけて平成25(2013)年度に完成する。

この一大プロジェクトの動脈が陸地と人工島を結ぶ臨港道路=写真。延長1,805メートルのうち中心となる橋の構造が、3月6日に開かれた技術検討委員会で「エクストラドーズド橋」に決まったという。今月末までに国交省が最終決定をする。

先月、平の生涯学習プラザでいわき市主催の「景観セミナー」が開かれた。いわき市立美術館の佐々木吉春副館長が「文化と景観」、国交省東北地方整備局小名浜港湾事務所の加藤雅啓所長が「小名浜港の新たなみなとづくり」と題して話した。平の人間には港は遠い。平の人間として初めて、平で小名浜港の話を聞いた。貴重な体験だった。

セミナーでは景観面からみた人工島の橋の検討経過と方向性が紹介された。まず、海面からの橋の高さは、陸地からの最大勾配5%(100メートル行って5メートル上がる)として25メートルが限界とされた。巡視船は橋の下を通航できるが、大型客船「飛鳥Ⅱ」は通航できない。

次に、橋の種類として「鋼床版箱桁橋」「ラーメン箱桁橋」「エクストラドーズド橋」の3案が比較検討された。(蛇足ながら、「ラーメン」はれっきとしたドイツ語。構造形式の1つで、高速道路をまたぐ生活橋がだいたいラーメン橋だとか。両側から将棋盤の脚のようにニョキッと突き出てがっちり橋桁を支えている)

コストはもちろんだが、小名浜港の新たなランドマークとしての眺望も計算に入れなくてはならない。その結果、技術検討委員会は主塔と斜材で主桁を支える外ケーブル構造の「エクストラドーズド橋」を選んだ。

ここからは個人的な感想。横浜ベイブリッジのような吊り橋ではない。が、斜張橋に似て主塔から張り出された斜材が線による三角形、低い山形をつくりだす。景観としては味わいがある。いわば「小名浜ベイブリッジ」。

日の出や日の入りばかりか、夜間にライトアップされれば、それも格好の被写体になる。橋から眺める阿武隈の山並みや工場の夜景もいいかもしれない。橋自体が新しい風景になり、橋もまた新しい視点場を提供するのだ。

それこそ「小名浜ベイブリッジ」を目当てに観光客がやって来る、というふうになれば儲けもの。「小名浜ベイブリッジ」を観光資源に磨き上げられるかどうかは、地元の人の知恵と汗次第だろう。

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