2009年3月5日木曜日

事務局長氏はMBAだった


現組織の前身を立ち上げたのがいわき市出身の朋友。で、今も夫婦で「特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会」にかかわりを持っている。10年ほど前、イベント支援を兼ねて本部の事務局長氏がいわき市へやって来た。東北行脚のあと、いわきへ立ち寄ったこともある。

事務局長氏はシャプラニールを再生させたあと、請われて大学教授に転身した。新設の東北公益文科大学(山形県酒田市)で学部の4年、院ができると2年の計6年間、教壇に立った。専門は公益論、NPO経営論など。この2年間は非常勤講師としてのんびりと過ごし、通勤の合間にローカル線の旅を楽しんだ――と、今年の年賀状にあった。

その事務局長(正確には元)氏から先日、電話があった。常磐線の鈍行列車で北上している。今夜はいわき湯本温泉に泊まり、翌日、磐越東・西線経由で会津を巡ったあと浅草へ戻る。ついては会えないだろうか――というものだった。2泊3日の旅らしい。

事務局長氏を紹介するシャプラニールのかつての広報誌にこうあった。「JALのエグゼクティブクラスにすわっているようなおやじだが、アバンギャルド」。損保会社に勤めたあと、アメリカに留学し、経営学修士、いわゆるMBAの資格を取った(これはネットで調べて分かった)。キャリアが買われてシャプラニールに入ったのだろう。

その「エグゼクティブ」がローカル線大好きという。人は見た目では分からない。グローバルな視点を持っているからこそ、ローカルな、スローな旅が心にしみるのか。いや、たぶん「おやじ」の内側にある少年性、これこそが「アバンギャルド」の熱源に違いない。

年賀状には、鈍行列車に揺られながら車窓に移る景色を楽しみ、何か社会の役に立てないものかと考えた、そろそろ行動に移さねば――ともあった。またまた転身を図るプランを練り上げたらしい。

常磐に着いた頃合いを見計らって事務局長氏の泊まる温泉旅館を夫婦で訪ねた。近況報告を含めて1時間余りよもやま話をした。

事務局長氏は夏井川渓谷の無量庵にも立ち寄ったことがある。磐越東線の車窓からはっきり見える=写真。「江田駅から2、3分のところ。風景がパッと開けるから見てください。ただし、磐越東線は本数が少ない。一番列車は早過ぎて無理なら、二番列車(いわき駅発8時43分)しかない。乗り遅れると午後までないですよ」と念を押して別れる。

自由時間の楽しみ方は人それぞれだ。とはいえ、おおかたは日常の些事にまぎれて楽しみ度が薄くなる。その証拠に、この冬は無量庵泊まりの回数が減った。まずはこれを増やす。そのうえで、多少はアバンギャルドな、非日常的な時間を生きる――などと、事務局長氏から刺激を受けて勝手に考えた。

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