2011年10月20日木曜日

秋の花粉症


見た目は元気そうなのに鼻声だ。花粉症だという。秋の花粉症にかかった若い人間を初めて身近に見た。

とっさに思い浮かんだ植物がある。セイタカアワダチソウだ。土手に、空き地に、河川敷に群生している。冷気が忍び寄ってくるころ、次々に黄色い花を咲かせる。今がそうだ=写真。花粉症の原因植物ではないが、なぜか秋の花粉症の話になると、この帰化植物が脳裏に浮かぶ。ほんとうは、ブタクサやヨモギなどが秋の花粉症の“犯人”だそうだ。

双葉郡と近隣地区は今年、「雑草天国」になった。大震災に伴う原発災害さえなければ、里は、山里は美しい景観を保っていられたはずである。水田には稲穂が整然と並び、畔道の草もきれいに刈り払われていたはずである。農村や山村の景観は、住民が絶えず行う「草刈り」によって保たれているからだ。

その里や山里に人がいないということは、「草刈り」が行われないということだ。田畑の、畔の、庭の雑草は茂りに茂り、育ちに育った。そして、ヨモギたちが夏から秋の開花期を迎えた。

こんな話を聞いた。原発事故を収束するために作業員がJヴィレッジを拠点にして集散する。この時期、花粉症にかかっている作業員が少なくない、というのだ。

双葉郡と近隣地区が、「草刈り」という文化を失って荒れた自然に戻りつつある。1年の、四季のサイクルのなかで、去年までは開花する前に刈り取っていた草が至る所に残っている。草にとっては勢力を広げる絶好のチャンスだ。そんな荒れた自然環境が秋の花粉症の増加の一因になっていないだろうか。

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