2011年10月16日日曜日

紙工芸教室


いわき駅前再開発ビル「ラトブ」2階に開設された被災者のための交流スペース(NGOのシャプラニールが運営している)で先日、紙工芸教室が開かれた=写真。佐久間静子さんが講師を引きうけた。まったく受講生がいないのもさびしいものだ。紹介した手前、サクラになるつもりで出かけた。

硬い色紙を二つに折って、型紙に合わせてはさみを入れる。すると、たちどころに「怪獣」ができあがる。孫へのいいプレゼントになる。やる気がわいてきた。

たった一人の受講生を相手に教室が始まった。交流スペース前をブラブラ歩いていたおばさんたちにスタッフが声をかけると、4人が興味を持って入ってきた。5人になった。

女の子を連れた夫婦がやって来た。「あれっ、Sさんじゃないですか!」「あのときの!」。思わず握手をした。仕事を辞めると同時に、ある会社の記念誌の取材・編集を頼まれた。そのとき、自宅へ赴いてインタビューをした一人がSさんだった。久之浜に住んでいた。女の子は孫だ。

津波に何もかも持っていかれた。記念誌も。あの日(3・11)は娘と孫が来ていた。いつもだと目の前の海岸を散歩する時間。孫を連れて散歩していたら、二人とも流されていた。娘に恨まれていたに違いない。虫の知らせというのか、家にいて、車で目の前のバイパスに上がり、山の上の寺に逃げた。命と車だけだ、残ったのは――。

取材で一度会っただけだが、氏素性は互いにわかっている。Sさんは堰を切ったようにあの日のことを語り続けた。

今は平の借り上げ住宅に住んでいる。シャプラニールから交流スペース開設の手紙が来たので、様子を見にやって来たという。奥さんと孫は紙工芸を楽しんだ。

交流スペースにはこういう再会もある。

1 件のコメント:

名刺一号 さんのコメント...

早速おじゃましました!
バイタリティ溢れるブログですね☆
また覗きにきます…