2011年10月11日火曜日

「交流スペース」開所


NGOの「シャプラニール=市民による海外協力の会」が運営する、被災者のための「交流スペース」がおととい(10月9日)、いわき駅前再開発ビル「ラトブ」2階にオープンした=写真

午後1時から開所式が行われた。被災者をはじめ、市、市社協、双葉郡内の自治体関係者など、ざっと40人が参加した。

市の佐藤隆市民協働部長と、被災者のすずきとみこさんがあいさつした。シャプラニールのスタッフは、バングラデシュとネパールで活動しているシャプラが、東日本大震災を機に初めて国内支援に入った経緯と、いわきでの取り組みを報告した。

オープニングイベントとして、いわき芸能倶楽部に所属する2人組「のん☆ぴー」さんがパントマイムを披露した。風船アート教室の講師も務めた。パントマイムをじっくり見るのは初めてだ。時折、マジックも取り入れ、アッと驚かせる。ややなまりのあるところがご当地芸人らしくていい。久しぶりに腹の底から笑った。

交流スペースの開所に合わせて情報紙の「創刊準備号」(A3二つ折り4ページ)が発行された。オープン前から交流スペースを訪ねてくるようになった被災者の元漁師さんの声が載る。

「薄磯にいた頃は、毎日防波堤に行けば仲間がいて、話し相手には事欠かなかったねぇ。今は周りに知り合いもいないから、一日をどう過ごせばよいかわからないんだ。この交流スペースが出来てスタッフが話し相手になってくれるから、これからも利用するよ。俺のように独りで暮らしている人がいたら、是非ここを利用して欲しいな」

被災者を代表してあいさつしたすずきさんは、薄磯海岸でカフェを開きながらパッチワークを楽しんできた。元漁師さんも客の一人だった。元漁師さんはラトブ近くの借り上げ住宅に住む。知り合いが入った内郷の雇用促進住宅を訪ねた際、すずきさんと再会し、互いに生きていることを喜びあってハグしたという。開所式でも二人は顔を合わせた。

すずきさんは多くのキルト作品を津波にさらわれた。が、まだ手元に残っている作品がある。届けられた作品も、砂の中から見つかった作品もある。客やファンとの再会を期して10月29、30日、鹿島ショッピングセンター「エブリア」で「カフェサーフィン すずきとみこの手仕事展」を開く。みんなの力を借りて一歩、一歩前に進んでいくつもり――それがすずきさんの決意だ。

きのう(10月10日)はオープニングイベント第二弾、古扇亭唐変木さんとの落語と、宮内真佐子さんのハーブのミニブーケづくりが行われた。

ミニブーケづくりが行われているところに息子一家がやって来た。交流スペースにはキッズコーナーがある。そこで2人の孫としばらく遊んだ。被災者のための交流スペースは、祖父母と孫たちの交流スペースでもあった。

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